最初の通過点なのさ!
ラストゲームになった。
小学生時代の、ね。
これで終わったんじゃない。
ハヤト!君の野球は再び始まったのさ。ゲームセットの瞬間から・・・・。
くたびれて色褪せたのは、ユニフォームのオレンジ色だけさ。
今日も君は輝いていたぞ。
青葉杯の試合。晩秋。青葉の季節じゃないけれど。
野球小僧はみんな青葉。これからぐんぐん伸びていく・・・・。
小山ドラゴンズ 2−9 清瀬旭が丘
旭が丘の打線炸裂。
敗色濃厚の重い空気の中でも君は、ずっとずっと大きな声を出していたね。
ハヤト・・・。父さんは見届けたぞ。
レフトだった。本当に好守を見せてくれた。
難しいフライをいくつも取った。
ナイスレフトーっ!
今日だけは僕も声を出して声援を送った。
ハヤト・・・君の耳に届いたか?
3打席。3打数2安打。
内野安打に感動した。全力疾走で駆け抜けた。
「セーフ!」
その瞬間のうれしそうな顔。その足は君の最大の武器だ。
そして小学校時代最後の打席。
グリップエンドいっぱいにバットを握る。
そうだ!それでいい。それが君の美学だ・・・。
振りぬいた打球はきれいなライナーでセンター前ヒット。
「僕、野球ヲ習イタイノ・・・」
あの日から5年。
ヘルメットの中の鉄腕アトムにありがとうだね。
これがハヤトの小学生時代最後の試合。
終わりのない夢の途中・・・・・。
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