この日に思うこと

「あの日」から11年の時が流れた。
「あの日」、僕の先輩のYさんは西宮の倒壊した自宅で、当時小学生だった御長男を失った。


僕はいつも想う。「かけがえのない存在」について・・・。
尊敬する先輩、Yさんの心を想う。
泣いてしまうんだろうな。・・・今年もきっと・・・。
「生きていたら今頃・・・」
この11年間、Yさんは何度考えたことだろう・・・。


どれだけ多くの人々が・・・、今日、涙を流しただろう・・・。
神戸の街に想いを馳せたい。
生きている今を深く考えていたい。
手を伸ばせば触れられる全ての命を、ね、
「愛おしい」と感じていたい。
慈しんで生きていかなければ・・・。


「愛する者」「小さい者」「優しい者」・・・生きていればいい。
ただ、生きているだけでいい。
どんなに惨めでも無様でも生きていればいい。
僕はそれをシアワセだと思う。
そう思える人間でありたい。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


下校後、昼寝をしているハヤト・・・。
じっとりと汗で濡れている髪を撫でた。
あたたかい「命」の熱が僕の掌に伝わる。

その時、僕は再びYさんを想い泣いた。


誰一人・・・そうだ。
誰一人として失いたくない。


生きなきゃ。
「命」ある限り生きなきゃ・・・。


小さくて愛しい者たち・・・。
しっかりと抱きしめることの出来る強い自分でいなければ・・・。


昨日と同じ今日・・・
今日と同じ明日・・・


こんな毎日が続くことがシアワセなんだ・・・。


きっと・・・。