マンションの高層階から地上を写した写真・・・。
週刊誌のグラビア記事に載っていた・・・。
小さな男の子が投げ落とされた事件の現場だ・・・。


僕は、直視出来なかった。
なんて残酷な記事なのだろうと思う・・・。


悲しむ誰かの痛みに、僕たちは鈍感になっていないか?
大切な子供の命を奪われた親御さんの悲しみを想う・・・。
決して癒されることのない悲しみを想う・・・。


想像することも出来ないのか?
誰かの悲しみに思いを馳せることすら出来ないのか?


この週刊誌は病んでいる。


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昨日は、尾崎豊の命日だった。
ラジオからずっと、彼の唄が流れ続けていた・・・。
「心を倒さず生き抜いておくれ。」って・・・。


学生時代、自分は何の意味すら持たない人間だと思い込んでいた尾崎豊は、きつい農作業を手伝いながら「蚕」と出会う。
ちっぽけな虫が生み出す糸を見て、彼は泣いたそうだ。
こんなちっぽけな虫ですら意味を持って生きている。
それに較べて自分ときたら、生きている目的さえ見つけられないと。


もがき苦しみ、尾崎豊はいくつもの唄を作る。
「蚕」が吐き出す絹糸のような唄を・・・。


意味のない人生なんてない。
尾崎豊の唄を聴きながら思った。


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子供に関わる事件はつらい。
ただ果てしなく悲しい。


子供たちの命が奪われることって、
僕たちの未来が奪われることなんだよ。


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このグラビアには写ってないんだけれど・・・。
現場に供えられた花々がある。


花を手向けた人たちがいる。


きっと人間は、ね、信じるに足る存在なんだ。