卒団。決別の朝に。

・・・・振り向くな。振り向くな。
    後ろには夢がない。・・・・


寺山修二さんが、名馬ハイセイコーに贈った詩の一節である。
現在、在るべき場所を、ただひたすらに疾走する者たち・・・。
彼らの気高き姿は、狂おしいほどに愛しい。


ひたむきであれ。君よ、ただただひたむきであれ。


美しき者よ。
気高き者よ。
美しく、気高き者よ。


疾走せよ。
君の青春を疾走せよ。


ありがとう。
清瀬ポニー、28期生たち。
おめでとう。
卒団おめでとう・・・。


・・・・振り向くな。振り向くな。
    後ろには夢がない。・・・・



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朝、坂道を自転車で登る・・・・、
自転車で登る、小さな野球少年を見た。
リュックとバットを背負っていた。
黒いユニフォーム。
オレンジ色の背番号。


小山ドラゴンズ


黒いユニフォームは、「勇気」
オレンジの背番号は、「情熱」


ぐんぐん登る。
坂道を登る。
元気一杯のゲンキくん・・・。


坂道を登る・・・・、
自転車で登る。
小さいゲンキくんの姿。


僕は、込み上げそうになる・・・。


黒いユニフォーム。
オレンジ色の背番号。


ゲンキくん・・・。
・・・・君もハヤト・・・。


僕の息子。
君も僕の息子。


元気一杯走ってごらん。
グラウンドを走ってごらん。


がんばって!がんばって!


野球を好きになってね。
もっともっと好きになってね。


小山ドラゴンズ


小山小学校の入口に、
小川監督が待っているんだね・・・。
坂道を登って来る君を、
ニコニコ笑って待っているんだね・・・。


がんばって!がんばって!
小山ドラゴンズ


今なお、僕の息子たち・・・。


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清瀬ポニー。
28期生たちの卒団・・・。
気高く美しき彼ら・・・。


大きくて強い彼らが巣立つ朝。


島崎藤村の詩を思い出していた・・・。
惜別の詩・・・。


その朝に会った小さな男の子。
今、まさに翼を広げようとする小さな男の子。


野球少年を想う。
少年たちの夢を愛する。


彼らの大きな夢
決して否定されてはならないものだ。


卒団式。
決意する朝。


疾走せよ。


愛おしい者たち。