少年野球の歩き方
明け方までの激しい雨。
当然のように本日の予定は中止との連絡がある・・・。
ハヤトは落胆、がっかりと肩を落とす・・・。
小学校低学年の頃は、こうやって雨天中止の連絡がある度に泣いてしまうほどだった。
中学生になった現在でも同じ傾向にあるハヤトを見ながら、僕は少なからずのシアワセと安堵を感じている。
ものすごい練習量のクラブチームに所属しながら、それでも弱音を吐く事すら無く、野球が中止になってしまったと嘆く息子の姿を、ちょっぴりウレシイなと思ってしまう。
野球の好きな息子を持つ、野球の好きな親父にとって、これ以上の喜びは無い・・・。
ありがたい・・・。本当にありがたい・・・。
今もなお、僕の夢の中に出てくる小学校1年生のハヤトが言う、
「オ父サン、僕ネ、野球ヲ習イタイノ・・・。」
その頃のハヤトも、現在中学生のハヤトもね、野球を希求する心の本質に関しては変わっていない。
あらためて考える事が出来る。
それが雨の土曜日、そして雨の日曜日・・・。
悪くない・・・。
雨の日も悪くない・・・。
いろんな事をじっくりと考えられる日なんだ・・・。
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テレビでは、東京マラソンの中継が流れている。
僕はね、マラソンランナーを美しいと思う・・・。
希求して、挑み続ける事を決して忘れない人々なんだ。
降りそぼる雨の中、美しい人々が走っている。
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大丈夫。きっと大丈夫さ・・・。
どんな道でもね、挑み続ける事がイコール人生なのかもしれないね。
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空が明るくなった。
もうそろそろ雨が上がりそうだよ・・・。
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「お父さん!ボール投げてよ!」
ランニングと素振りを終えたハヤトが僕に言う。
おう!いいともいいとも。
いいとも中年隊だっ!父ちゃんは・・・。
布ボールを僕は投げる。
ハヤトは黙々と打つ・・・。
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モンゴル800の唄、「夢叶う」
そのメロディが聞こえるような気がした・・・。
〜明日には、夢叶う、夢叶う、いい風が吹く〜
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布ボールを僕は投げる。
「ねえ、父さん、ちゃんと投げてよ!」
結構カチンとくる事を言われる・・・。
「ちゃんと投げてよ!」
・・・、う〜む、今度カチンとくる事を言いやがったらな、ぶっ飛ばしてやろう・・・。
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中学生。ぐんぐん伸びる身長・・・。
大きくなったニャ〜。
たくましくなりつつあるニャ〜。
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写真はね、小学校1年生のハヤト。
「野球ヲ習イタイノ・・・。」
そんな事を言っていた頃のハヤト。
今、この子はどこに行っちゃったんだろう・・・。
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「野球ヲ習イタイノ・・・。」
誰もが言ったセリフであるのなら、やっぱり少年野球は尊い・・・。
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やっぱり僕はね、
彼らと一緒にいよう・・・。