ハートのルーキー
プロ野球中継の無い月曜日のラジオ。
だが、民放各局は工夫を凝らして、本当に内容の濃い野球関連の番組を放送している。
とても興味深い話が多く、結構楽しみにしながら毎週聴いている・・・。
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「島の人たちが応援してくれていますから・・・。」
「島の人たちに喜んでもらえるように・・・・・。」
「島の人たちに・・・・・・・。」
幾度となく出てくる、「島の人たちに。」と云った言葉の中に、
僕は、この若者の誠実さや一途な気持ちを感じた。
そして、彼の中学時代、
苦心をして遠征費を工面してくれた祖父母に対する感謝の気持ちを述べる様子に心うたれた。
「おじいちゃんやおばあちゃんに、恩返しがしたいです。」
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彼とて、決して順風満帆の野球少年ではなかった。
ポニーリーグ世界大会3位の実績や、ご存知、八重山商工の輝かしい躍進ばかりにスポットが当てられているのだけれど・・・。
怪我や故障にも苦しみ、順調に実働出来た時間はね、意外なほど少ないんだ・・・。
一番苦しい時期に応援してくれた「島の人たち」・・・。
その人たちの夢を背負って大嶺投手はマウンドに登るんだね。
苦しいとき・・・、悲しいとき・・・、悔しいとき・・・。
そんな時間が野球少年をさ、強く逞しく育てるんだね・・・。
どんなときでも大丈夫!オッケー!ノープロブレムさ!
野球の神様はね、乗り越えられない試練は与えない。
苦しみ・悲しさ・悔しさが大きければ大きいほど、
本来の君が強い人間である証拠なんだよ・・・。
大嶺投手の話を聴きながら思ったんだ。
がんばれ!日本中の野球少年たち!
君は誰の夢を背負ってグラウンドに立つのだろう?
負けるな!君たちは強いんだぜ!
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「おじいちゃんやおばあちゃんに、恩返しがしたいです。」
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大嶺投手。
大丈夫だよ、もう恩返しは済んでいるんじゃないだろうか。
おじいちゃんもおばあちゃんも、そう思っているはずだ・・・。
工面してくれた中学時代の遠征費だってさ、
君がうれしそうな顔をして野球バッグを肩に下げて出掛けていく後ろ姿を見た時にね、
苦労なんて吹き飛んでしまっていたはずだ・・・。
シアワセそうに野球をする君の顔がさ、どれだけおじいちゃんやおばあちゃんを元気にした事だろう・・・。
野球っていいよね。
野球少年っていいよね。
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千葉ロッテマリーンズ。
大嶺祐太投手。
初登板の日を、僕は心待ちにしている・・・。