日曜日の明け方

昔、独身時代に僕が使っていた目覚まし時計はスゴかった・・・。
火災報知器と同じベルが内蔵されていたんだ・・・。
けたたましい音がしていたっけ。
何度も心臓が止まってしまうんじゃないだろうかと思った。
知ってる?
人間ってさ、睡眠中にビックリするとね、寝たまんまの姿勢で飛び上がっちゃうんだぜ。
そうさな〜、僕なんかだって10センチは飛んでいたはずだ・・・。
飛び上がるだけならいい。笑って許そう。
だが、飛び上がった勢いでベッドから落っこちちゃうんだよ・・・。


火災報知器ベル内蔵の目覚まし時計・・・。
僕はそれが恐くて恐くてね、いつの頃からか目覚まし時計よりも早く起きるようになった。
ベルが鳴る寸前に起きられるようになったんだよ・・・。
ホッとしながら目覚まし時計のスイッチをオフにする・・・。
ちっ、起床!・・・なんちゃってな・・・。


素晴らしい目覚まし時計だった・・・。


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んがご〜・すぴぴ〜
んがご〜・すぴぴ〜
僕のイビキはこんな感じだろうか?


んがご〜・すぴぴ〜
んがご〜・すぴぴ〜


「・・・父さん、・・・父さん・・・、4時だよ、起きて・・・。」


ん?・・・おう、ハヤトか・・・。
サンキューな。起こしてくれてありがとさん・・・。
さてと、おにぎりを作ってやるからな・・・。
野球の仕度は出来ているか?


「うん、昨夜のうちに出来てるよ・・・。」


そうかそうか、オッケーだ。
まだ早いぞ、あと1時間寝なさい・・・。
睡眠不足はイカンぞ・・・。


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現在、息子が僕の目覚まし時計なり・・・。


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え?ハヤトが可哀想だってか?


否、これには理由がある・・・。
屁理屈じゃない。


ぐっすりと眠らせておいてから一度起こす・・・。
そして軽い睡眠を再びとらせる・・・。


脳と身体が本当に活性化する秘訣なんだ・・・。


是非、あなたのお宅でも試してほしい・・・。


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ありがとう!
目覚ましハヤト・・・。


父ちゃんがおにぎりを作ろう・・・。
にぎにぎ・・・にぎにぎ・・・。


お礼にな、梅干のタネは取っておいてあげよう・・・。


大丈夫だ。
父ちゃんは手をきちんと洗っている。
ほどよい塩味だ・・・。


にぎにぎ・・・おにぎり・・・。
どうだ!デカイだろう?


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雨戸を開ける。
朝もやの景色・・・。


行ってこい!野球小僧!


野球の空気を胸いっぱいに吸っておいで・・・。


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超特大のおにぎり3つ。


2つはハヤトの分。
1つは僕の分・・・。