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もくもく・・・。
もくもく・・・。
入道雲がもくもく・・・。
まさしく真夏日と呼べる一日だった・・・。
しかし入道雲ってな、もくもくと湧くような形だ。
「栄冠は君に輝く」の歌詞を書いた詩人の感性は見事だと思う。
〜雲は湧き 光溢れて〜
たったこれだけの言葉でね、万人の胸に真夏の空が甦るんだ。
歌が持つ力はスゴイ。あらためて僕は感じる・・・。
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その野球少年は16歳で片足を失う・・・。
けれど、野球への熱き想い断ち切れず一遍の詩を書いた・・・。
勝者も敗者もなく、ただ純粋な心でダイヤモンドを駆け抜ける少年たちの、
誰もの頭上に輝く栄冠を信じて・・・。
1973年、彼は亡くなる直前まで松葉杖をつき、近くの小学校の校庭で野球をする子供たちを見つめていた。
彼が亡くなった翌年に生まれた少年がいる。
彼が見つめていた小学校の校庭で、その少年は野球を始めた・・・。
やがてゴジラと呼ばれる少年が甲子園で大暴れする事など、彼は知る由もない・・・。
だが、その時にも、「栄冠は君に輝く」は唄われていた。
やっぱり歌の持つ力はスゴイ・・・。
否、野球に魅せられた少年たちの心こそがスゴイのかもしれない・・・。
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今は梅雨の中休み。
その一瞬の真夏日。
もくもくと湧く入道雲を見ながら僕は、8月の空に想いを馳せる。