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早朝の志木街道をリョウくんが走っていた。
信号待ちをしている車の中から僕は見た。
一生懸命な表情はね、リョウくんのトレードマークなんだ・・・。
彼は、小さな頃から毎朝欠かさず走り続けている・・・。
走っている距離にも驚くのだけれど、毎朝欠かさずに走っているって事がすごい・・・。
葉の緑色が濃さを増す朝。
ケヤキ並木の中を走る野球少年の姿。
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少年たちは誰もが蕾を持つ。
あらゆる場面で蕾を持つ存在なのだと僕は思う。
懸命な姿だけが蕾を大きく育てる手法なんだよ・・・。
ア・オ・イ・ク・マ・・・。
アセラズ・オコラズ・イバラズ・クサラズ・マケズ・・・。
君の掌の中の蕾を僕は信じている。
リョウくんよ、
君はどんな花を咲かせるのだろう・・・。
オジサンはね、それを見る日を楽しみにしているぜ・・・。
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「リョウの親父」こと、ウエさん・・・。
リョウくんは毎朝すごい距離を走っているのにな・・・。
ウエさんはね、親父リレーの時に僅か270メートル走っただけで足がつった・・・。
何でだろ?謎だぞ!
え?僕?
僕はドクターストップで走らなかったんだもんね。
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早朝の志木街道・・・。
リョウくんの真剣な顔・・・。
とてもシアワセな気持ちになった朝。
おはようさん!