朝、犬の散歩をしている時にね、小山ドラゴンズの小川監督に会った。
雨上がりの気持ちいい朝・・・。


小学校の脇の坂道を車で下ってきた小川監督は、軽くクラクションを鳴らして僕を呼び止めてくれた。


「今な、グラウンドの状態を見に行ったんだけれどよ、ちょっと練習は無理っぽいな。」
東久留米の仰木彬は、相変わらず子供たちの側に立って奮闘している模様・・・。


現在、小川監督が指導している6年生たちの様子を聞く・・・。
6人の6年生たちをね、本当によく見ている・・・。
ひとりひとりに愛情を注ぎながら・・・。
小川監督にとって、かけがえのない子供たちなのだと解る・・・。


「わっはっは。弱いんだ・・・。まったく嫌になっちゃうよ・・・。」


そう言いながらもね、小川監督の目は優しかった・・・。
弱くたってさ、大切な野球少年たちなんだもんね・・・。


目の前の試合に勝てなくっても・・・。
優勝旗なんて縁がなくってもね・・・。
それでも小川監督はさ、シアワセそうな顔をして子供たちの側にいる・・・。


野球の素晴らしさや友達の大切さをね、子供たちに手渡し続けているんだ・・・。


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「ハヤトはどうだ?トノはどうだ?」


オッケーですっ、あいつらなりに本当にがんばっています!
がんばっていられる力をね、あいつらにくれたのは小川監督です・・・。


「ハヤトは負けず嫌い。トノは辛抱強い・・・。すごく楽しみなんだ・・・。」


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ハヤトは負けず嫌い・・・。
トノは辛抱強い・・・。


あのさ、恥ずかしいのだけれど、親は気付かぬ事なんだ・・・。


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たとえば、の話・・・。
ハヤトの、「負けず嫌い」を見抜いたのは小川監督だった・・・。


僕は、ハヤトは「お人好し」だと思っていた・・・。
それから・・・「ケチ」


そうそう、玉子ボーロ・・・。
赤ちゃん時代のハヤトは一粒たりとも僕にくれなかった・・・。


一個ちょうだい。って僕が言うとね、
一袋分を全部自分の口に放り込むような赤ちゃんだった・・・。


シェギナベイベー!・・・だった・・・。


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親には見えない事もある・・・。
でもね、しっかりと見抜いてくれた人が近くにいる・・・。


少年野球。


それがさ、「地域ぐるみでの子育て」と言った位置づけに出来たならいいのにな・・・。


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今年・・・。
清瀬ポニーの体験練習のお誘いをね、ハヤトは自分で小山ドラゴンズの後輩たちに持って行きたいと言った。


それを僕は小川監督にお願いした・・・。


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プロテクト・アワーネーションズ・ユース・・・。
〜野球少年たちの誇りを守れ!〜


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小川監督は子供たちの側にいる・・・。


弱くてもいい。
勝てなくてもいい。
野球の楽しさを知ってくれたならいい・・・。


小川監督はね、PONYの人ではない。


でもね、PONYな人・・・。


野球を通じて子供たちを最善へと導いてくれる人・・・。


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会えてうれしかった・・・。


「じゃあな・・・。」


そう言いながら走り去る車を見ながら僕はね、やっぱり込み上げそうになるんだ・・・。


野球は誰のもの?


そうさ!野球が大好きな人々のもの・・・。


小山ドラゴンズ・小川監督・・・。


東久留米の仰木彬・・・。


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今夜のハヤト・・・。


お家の方向が一緒だからね・・・。


いつものメンバーにプラス、1年生のリョーマくん&コバチちゃんと一緒に帰る・・・。


リョーマコバチもキョースケもね、すごく真っ直ぐなんだ・・・。」


そうさ。
みんな夢を持っているんだもの・・・。


しっかりと伝えてあげるんだよ・・・。


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夜、7時半に帰宅・・・。


それからね、素振り&金魂をした・・・。


2時間・・・。


いい加減にしてほしくなった・・・。


2時間だ・・・。


「父さん!しっかりと投げてよ!」


家に入ったのは9時過ぎ・・・。


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みんなで闘う夏・・・。


無心にバットを振るハヤトの顔・・・。


志木街道を走っていたリョウくんの顔に似ていた・・・。


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