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連日の熱帯夜。
寝苦しい夜が続く。
一日中窓を開けて風を通していたのにな・・・。
二階のムワムワ感は何だ?
まるでサウナみたいだ・・・。
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シャーシャーと鳴くセミの声にお気付きだろうか?
クマゼミである。
数年前から関東でも聞こえるようになった・・・。
地球温暖化のせいかもな・・・。
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しかし暑い。
寝室はエアコン無しではいられないだろう・・・。
だが、僕はお腹を冷やしやすいタイプの男。
胃腸が弱いんだもんね。
♪胃腸は手品師〜老いたピエロ〜♪
エアコンで就寝はご法度だ。
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僕は一計を案じ、廊下に布団を敷いた・・・。
ローカ現象だなんて言わないでほしい・・・。
これがなかなか快適なり。
ほどよいヒンヤリ感&スッキリ感・・・。
しっかりと眠る事が出来て助かっている・・・。
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朝練を終えて帰宅したハヤトが寝ている。
廊下の僕の布団に寝ている。
僕んちとクマさんちの中間地点にある公園で、KOYOくんとハヤトは連日がんばっている。
チームメートでクラスメート。
熊を親父に持つ者どうし・・・。
がんばれよ!いよいよこれからだよ!
将来、お互いの結婚式の二次会の幹事を出来るような付き合いをしてほしい。
これからの日々を想う。
たくさんの涙も汗も共有する仲間なんだね。
野球を学んで良かったな。ってね、いつか君たちも思える時が来るさ。
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「見て見て!」
カミさんが僕を呼ぶ。
寝ているハヤトの顔を見ろと言う。
カミさんは今、見ろのビーナスだ。
「フニーって顔をしてる。
寝ている顔は赤ちゃんの時と同じね。」
とっくに背丈はカミさんを追い越した・・・。
そんな息子の寝顔を見ながらカミさんは笑う・・・。
カミさんの笑顔を見ながら思ったんだ・・・。
僕らはね、こうして少しずつなのだけれど親になっていく・・・。
無我夢中で生きて来たし、これからも無我夢中で生きるしかないのだと思う。
でもね、立ち止まったような一瞬の笑顔を見て、僕はシアワセだと思った。
シアワセは歩いては来ないものなんだ。
だから僕らは歩いて行くんだよね・・・。
一日一歩、三日で三歩、三歩あるいて二歩下がる・・・。
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僕は、ティッシュでコヨリを作った。
そのコヨリをハヤトの鼻の穴に入れた・・・。
そして数回前後した・・・。
目にも止まらぬ早業だっ!
「ハッ、ハッ、ハックション!」
ハヤトはクシャミと共に目覚めた・・・。
「せっかく寝てたのに!何で起こすんだよっ!」