娘帰る。
成田空港第2ターミナルにて。
元気いっぱいに帰って来た娘の顔を見た時、僕は両足がヘナヘナとした・・・。
ホッとした瞬間に両足がヘナヘナとした・・・。
娘がアメリカへ行っている間中ずっと、本当に生きた心地がしなかった・・・。
「わ〜い!ナイス・トゥ・ミー・チュー!エブリバディ!」
ってな、この娘が帰国した瞬間、確実に我が国はね、何デシベルかは賑やかになる・・・。
それでもよい。とにかく元気いっぱいに笑いながら帰って来てくれた・・・。
この安堵の気持ちを表現する言葉を僕は持っていない。
ただヘナヘナと足が震えていた・・・。
「勝訴」と書かれた紙を持ってさ、成田空港の南棟から北棟へ走りたいような気分だった。
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ありがとう!JAL!
スチュワーデスさんにキスをしたい!
ありがとう!アメリカ!ラブ&ピース!
ウエルカム!あんパン!食パン!ジャパン!
ありがとう!ライト兄弟!
なんだか軽いノリの兄弟みたいで信用ならぬと思っていた自分を恥じよう・・・。
みんなが空を飛べるのもね、あんたがた兄弟のおかげ様です!
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娘が手を振っている姿を見た時、
僕は、本当に恐いモノが多くなったものだと思った・・・。
若い頃の僕は、何も恐いモノは無かった・・・。
ならず者みたいに生きていたからね・・・。
それが結婚し、子供が生まれる度に恐くなった・・・。
大切な人間が増えるとね、生きる事が恐くなるんだ・・・。
そうだよ、本当はビビりまくって生きているんだ・・・。
きっと普段はね、ただそれを忘れて生きているだけなんだ・・・。
娘が留守の間に感じた生きた心地のなさや、ハラワタをえぐられるような寂しさの正体は恐さだ。
誰もが恐いのか?
誰もが恐さに怯えながら生きているのか?
それとも僕だけが恐さに怯えて生きているのか?
それでも精一杯強がって生きなければならないのが男なのか?
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成田空港で出迎える人々。
帰国ゲートから出てくる大切な人の顔を見た時、
足がヘナヘナとしているのはね、きっと僕だけではないはずだ・・・。
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僕は弱いんだよ。
本当は恐くてたまらなくてビビりながら生きている。
そうだよ。だって大切な人間がいるんだからな・・・。
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大切な人間の中でさ、
娘っていうのは特にヤッカイだ・・・。
痛痒いカサブタのようなものだ・・・。
心配は尽きない・・・。
シアワセであってほしい。
シアワセになってほしい。
親父ってのはさ、誰でもそれを上手く伝える事が出来ないでいるだけだ・・・。
カサブタだ・・・。
娘ってさ・・・。
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現在、母親になっている年代の(元)娘さんたちよ・・・。
どうか、自身のお父さんの事を思い出してほしい・・・。
健在であれば電話をして、時々は声を聞いてほしい・・・。
もし亡くなっているのであれば、大丈夫、きっと一番近くにいてくれるはずだ・・・。
心配でたまらないカサブタの傍に、だ。
それを実感して自分の子育てに向き合えばいいんじゃないだろうか?
誰だって愛されて見守られている。
愛して見守るように子供と接すればいい・・・。
そうでなければ男はつまらん。
親父はつまらん。
爺さんはつまらん。
娘を通して次の世代を育む肥やしが男だ。
わははっ、
娘が母親になった頃、
僕はたぶん、ヘンな爺さんになっているだろう。
痛痒いカサブタみたいな娘なのだけれど、
こうやって接していればね、いい母親になってくれるんじゃないかと期待を込めつつ思う。
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すごく難しい話になってしまってひたすら恐縮。
両足をヘナヘナさせながら考えた僕だ・・・。
すごく格好悪いぞ・・・。
両足はヘナヘナ・ヘナヘナ・・・。
歩き始めて気付いたんだけれどさ、
膝はカクカクしているぞ・・・。
さて、家に帰ろう・・・。
ヘナヘナ・カクカク・・・。
カクカク・ヘナヘナ・・・。
「パパ、お寿司が食べたいな・・・。」
おおっ、そうかそうか、ちょうどパパもね、お寿司が食べたいな〜って思っていたトコロ。
トッテモ気が合う僕らだね。うひ。
ヘナヘナヘナ・・・。