タワシでゴシゴシしたってカレー南蛮のカレーは落ちない。とても困る
この写真はね、座敷わらしではない。
今でも時々、僕の夢の中に遊びに来る小学校1年生のハヤトだ・・・。
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明け方、ソファーで寝ていた僕に毛布を掛けてくれた中学2年生のハヤト・・・。
野球を習わせてくれてありがとう。なんてね、本当にシアワセを感じる言葉だった・・・。
でもね、それは、僕にではなくて、ハヤトの周りにいる全ての方々にこそ伝えてほしい言葉だ・・・。
野球を習いたいと言った子供がいて、野球の心や技術を伝えたいと願う人々がいた・・・。
常にありがとうの気持ちを伝えなければならないのはね、そんな人々に対してこそだ・・・。
少年野球ってね、こんなにも素晴らしい世界なんだ・・・。
冷蔵庫から牛乳を出し、一息に飲み干すハヤト・・・。
「父さん、きちんと布団で寝た方がいいよ・・・。」
そう言いながら階段を昇るハヤトの背中を見ながら思った・・・。
少しだけでいい・・・。
人間として父ちゃんを追い越してくれたならいい・・・。
僕が君に対して望むのはね、ただそれだけの事なんだよ・・・。
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お〜い!
お〜い!
何処へ行っちゃった?
チビすけ・・・。
僕の大切なチビすけ・・・。
父ちゃんとキャッチボールしようよ・・・。
お〜い!出て来〜い!
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キキキ〜ッ・・・。
家の前で自転車の停まる音がする・・・。
「タダイマ〜!」
おう!ちっこいチビすけハヤト・・・。
韋駄天くんと2人で練習から帰ってきたんだね・・・。
「コンニチハ!」
くりんくりんの髪の毛をしたちっこい韋駄天くん・・・。
オジサンは逢いたかったぞ!君に逢いたかったぞ!
韋駄天くんをギュっと抱きしめる・・・。
なんだかとても懐かしい匂いがして、僕は泣きそうになった・・・。
あの強い東久留米の中学生のチームで・・・、
君も背番号4をもらえたんだってね・・・。
オジサンはうれしくて泣いたんだぜ・・・。
遊びにおいで・・・。
遊びにおいで・・・。
昔みたいにね、ハヤトくんの家に遊びにおいで・・・。
オジサンはね、いつだってここにいるよ・・・。
ずっとずっと小山ドラゴンズだったみんなを応援しているからね・・・。
ギュっと抱きしめてあげたい・・・。
あの子も、この子も・・・。
ギュっと抱きしめてあげたい・・・。
野球はね、君たちみんなのものだ・・・。
ちっこい頃の君を忘れないよ・・・。
ダブダブの小山ドラゴンズのユニフォームを着てさ、オジサンの夢の中に出てきておくれ・・・。
がんばるんだよ・・・。
最後までがんばるんだよ・・・。
オジサンはダメなコーチだったんだけれど・・・、
最後の一人になっても絶対に君の味方だからな・・・。
信じていておくれ・・・。
どんな君になっても僕は君の味方だからな・・・。
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眠りながら僕はね、泣いていたみたいだ・・・。
涙が耳に入ってしまって目覚めた・・・。
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たった一本の優勝旗さえ手に出来なかった子供たちなのだけれど・・・。
見てくれよ!
鬼神のようにな、それぞれの野球の道で輝いている!
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ギュっと抱きしめた韋駄天くんの感触が僕の手に残っている・・・。
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ソファーの上に僕は一人だ・・・。
チビすけ時代のハヤトと韋駄天くんはね、フッと消えてしまった・・・。
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野球を習いたいと願った子供たちがいる・・・。
今でもきっとね、彼らは輝いている・・・。
僕は、そんな頃の君たちの顔が忘れられない・・・。
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君を探し続けるだろうと思う・・・。
宝物のような君たちだったからね・・・。