G戦上のアリャリャ

〜人事を尽くして天命を待つ〜
まさしく現在の我が巨人軍の状況である。
たとえクライマックスシリーズがあろうともね、ペナントレースの優勝は意義あるものだ・・・。
我が巨人軍にとって、そして、我らG党にとって・・・。


特にね、中日ドラゴンズとの最終戦勝利はデカかった・・・。
うむ、デッカイ事はイイ事だ・・・。


ハヤトとテレビを見ながら祝杯を挙げた・・・。(コーラで、ね。)
親子で野球中継を見ながら喜び合うシアワセ・・・。


ずっとずっとね、プロ野球人気が続きますように・・・。


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チクチクと胸が痛む思い出がある・・・。
チクチク・チクチク・・・ってね・・・。


僕は、小さな頃のハヤトを東京ドームに忘れた事がある・・・。


それは、たしか2000年の夏の事だ・・・。
巨人VSヤクルト・・・。
我が巨人軍はね、6点リードで8回裏の攻撃を終えた・・・。
勝利を誰もが確信していたんだ・・・。


「オ父サン・・・、モウ帰ロウ・・・。
 僕ハ眠クナッチャッタ・・・。」

待ってくれ、ハヤトよ・・・。
次の守備だけ我慢してくれ・・・。
父ちゃんにな、勝利の美酒を味あわせてくれい。
お姐さ〜ん!ビール下さいな・・・。


思えば、この時点でハヤトは寝ちゃっていたんだな・・・。


ヤクルトが土壇場で大逆転をした・・・。
う〜む、お姐さんっ!ビールを下さいなっ!もう一杯!
我が巨人軍のサヨナラ勝ちを期待しよう・・・。


だが、あっさりと9回の裏は、三者凡退にてゲームセット・・・。
僕の心の中に北風が吹いた・・・。


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駅に向かう人波の中、僕は呆然自失で歩いていた・・・。
改札の前、財布の中から帰りの切符を出す・・・。
あれれ〜っ?2枚あるぞ!
もう1枚にはね、「小人」って書いてあるぞ!
いかん!ハヤトは何処だ!


慌ててドームへ引き返す。
あんなに慌てたのはな、人生の中で4回目ぐらいだった・・・。


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ドームのお姉さんとハヤトは一緒にいた。
・・・石のように固まっていた・・・。
テトラのポップコーンを握りしめたまま・・・。
僕の顔を見ても固まっていた・・・。


帰途、ハヤトは一言も喋らなかった・・・。
手をつなごうとしてもね、振り払われた・・・。


東久留米の駅に着き、車で迎えに来たカミさんの顔を見て号泣するまで、
ヤツは一言も喋らなかった・・・。


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以後、僕はプロ野球観戦に行ってもね、ノンアルコールなり・・・。


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え?フィクションだろうって?
・・・そうです、この話はフィクションです・・・。
・・・うううっ、フィクションであってほしい・・・。


チクチクと胸が痛む・・・。


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今、こうやって中学生になったハヤトと一緒にね、
野球中継を見ながら喜べるシアワセに感謝・・・。