そら見たことか・・・。

風がとてもさわやかな一日だった。
金木犀の香りを胸いっぱいに吸った。


秋が深まる夕刻の犬の散歩は、センチメンタルな気持ちになるんだ・・・。


何年か前の夏まで、ハヤトと一緒にクワガタ虫を捕りに行っていた雑木林があった場所を通る。
全ての木が切り倒され、更地になり、月極の駐車場として整地されていた・・・。
敷き詰められたアスファルトの上に、オレンジ色の金木犀の花びらが舞い落ちている。


「月極駐車場。空あります。」ってね、真新しい看板に書かれていた・・・。


空あります・・・。ってか・・・。
ちょっぴり感傷に浸りながら、僕は空を見上げる・・・。


本当だ・・・。
こんな駐車場の上にだって空はある。
夕焼け空の雲が綺麗だ・・・。
電線にとまっているカラスと目が合う。


カラスよ、言わないでおくれ・・・。
アホ〜って、な・・・。