■
「ハヤトに碁盤をプレゼントするよ・・・。」
いつだったか、そんな事を僕の親父は言っていた・・・。
届いたばかりの、親父からハヤトへ贈られた碁盤は、デカくて重い・・・。
僕の頭の中に於ける碁盤のイメージを覆すような大きさだった・・・。
父よ、我が親父よ、ハヤトの爺ちゃんよ・・・。
物事の限度を知らぬのか?
どこに置く?コレ。
だが、ハヤトは、とてもとても喜んだ・・・。
「すげぇ!ムクだよ!手彫りの足だ!ものすごく高いよ!きっと・・・。
ずっとずっと大切に使わせてもらう!」
ハヤトは早速、僕の実家に電話を掛けた。
「お爺ちゃん!ありがとう!」
「ハヤト、お爺ちゃんこそありがとうを言いたい・・・。
いつも野球をがんばっている姿からね、たくさん元気をもらってる・・・。
そうそう、碁盤の裏を見てくれた?」
碁盤の裏にはね、こんな言葉が書かれていた・・・。
先日、僕の日記に載せた写真が、それ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勇翔へ
夢
武男
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お世辞にも上手な字ではないのだけれど、ひとつひとつの文字に心を込めたであろう事が解る・・・。
どんな顔をして親父は、この文字を書いてくれたのだろうと考えた時、僕は本当に感激した・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パチリ・パチリ・・・。
ハヤトは碁盤に碁石を置く・・・。
「おお〜っ!すごくいい音がする!」
パチリ・パチリ・・・。
タカラモノが増えたね・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
碁は野球に通じる・・・。
それってさ、僕にはよく解らない事なのだけれど・・・。
不思議を想いながら君を見ていよう・・・。