その瞬間の煌き
サードにはKOYO(2年生・野火止コンドルズ出身)
ショートにはニッちゃん(2年生・清瀬レッドライオンズ出身)
セカンドにはキョースケ(1年生・清瀬旭が丘出身)
ファーストにはハヤト(2年生・小山ドラゴンズ出身)
マウンドの上にいるユウタに、みんなが心の中から声を出していた・・・。
「ユウタ・・・、ゴメン・・・。
オレたちは打たなきゃならなかった・・・。
打って打ってオマエを助けてあげたかった・・・。」
ばち来〜い!
ユウタくんが振りかぶる瞬間、内野陣はグッと身体をかがめる。
外野からも大きな声が、力強くマウンドへ届く。
「守ってやる!ユウタ!
絶対にオマエを守ってやる!」
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最後の打者を2ストライクまで追い込んだ後、
得意のスライダーを何度もカットされた・・・。
ユウタくん(1年生・新堀ジャイアンツ出身)は、一度だけ天空を見上げて深呼吸をした。
周りを見る。
同級生のキョースケはね、飄々とした表情でユウタくんを見つめる・・・。
「大丈夫だよ。」
ニコニコと笑っていた・・・。
サード、ショート、ファーストを守る先輩たちもね、
ユウタくんの顔を見つめて笑顔を見せた・・・。
「オマエを一人ぼっちにはさせないよ・・・。
大丈夫だよ、絶対に守ってやる・・・。」
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得意の球をカットされた時の投手の苦しみがある・・・。
ユウタくんはね、ずっと信じて見つめ続けたリョウくんのミットに願った・・・。
「先輩、オレはストレートで勝負したい・・・。」
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マスクの中、リョウくん(2年生・清瀬レッドライオンズ出身)は言う。
そうだな、全力のストレートを投げて来い!
オレが受け止めてやるよ。
遠慮しないで全力で投げて来い・・・!
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ユウタくんの渾身のストレートが、リョウくんのミットへ!
ストライク!
そして大会は終わった・・・。
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V
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でもね、僕は思ったんだ。
最後の打者の表情を見ながら、ね・・・。
勝ったり負けたりする・・・。
それが本当の野球の素晴らしさなんじゃないか?って、ね・・・。
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勝利だけを追い求める野球ならば、ポニーリーグに所属するチームである意味はない。
最後の打者になった彼の、次の対戦での打席が楽しみなんだ・・・。
勝ったり負けたりする・・・。
少年たちはね、そこから多くを学ぶ・・・。
え?少年たちが何を学ぶのか?って?
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それは、誠実なる他者の痛みだ・・・。
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誠実なる他者の痛みを知らぬ大人たちが多い・・・。
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少年野球からはね、しっかりとそんな心が学べるぜ・・・。
真剣な闘いの中から学べるんだ・・・。
他者の痛み・・・。
誠実な他者の痛み・・・。
他者の痛みに痛む心。
人間として、一番大切な感情なのだと僕は思う。
それを野球から学べるのだもの・・・、
少年野球は素晴らしい・・・。
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カキーン!
夕焼けが綺麗だった今日・・・。
僕は、野球少年たちの心に想いを馳せた・・・。
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勝ったり負けたりする・・・。
でもね、負けても学べる・・・。
勝っても学べる・・・。
とっても大切な心の持ち方。