流星

夜空を見上げながらハヤトが僕に聞いた。
「東はどっち?」
さて?どっちだろ?・・・う〜む・・・。
♪風の向きならこっちだけれど〜 潮の流れはあっちだぞ〜♪
ってね、僕は唄いながら答えた・・・。
大丈夫だ。ハヤトよ、今、君が見上げている方向が東だ・・・。
そうだ、そっちの方向が東だ・・・。
そのままでいい・・・。
そのまんま東だ・・・。なんちゃってな。
え?寒いってか?ギャグが寒いってか?
・・・すまんな〜、これが君の父ちゃんの本来の姿なんだ・・・。


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流れ星だ。
すごいたくさんの流れ星が見えるらしい。
東の空にね・・・。


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願い事をしなくっちゃ・・・。


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知ってる?
流れ星を見たら願い事をするのさ。


3つだけ願いを叶えてもらえるんだよ・・・。


ただ、ルールがあるんだぜ、ベイベ、憶えておいてほしい・・・。


3つの願い事のうち、
2つはね、自分以外の誰かの事を祈る。
残りの1つだけ自分の事を祈るんだ。


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バットを持ったまま、ハヤトは夜空を見上げている。


誰のための何を願っているんだろう?
自分のための何を願うのだろう?


あえて僕は聞かないけれど、
優しい心を失わずに大人になってくれと思う・・・。


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僕も願い事をしなくっちゃ!


1、病気と闘っている野球少年がいる。
  一日も早く元気になって、ずっと大好きな野球を続けられますように・・・。


2、クマおじさんが痩せられますように・・・。


さ〜て、僕のための願い事をしよう・・・。


3、・・・あっ!流れ星が行っちゃったぞ!


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自分のための事は願えなかったけれど、それでいい。


1つ目の願い事はね、星に届いたはずだ。


2つ目の願い事はね、届いても届かなくてもいい。
ポッチャリしていた方がさ、クマおじさんらしくていいじゃないか。


♪ええじゃないか ええじゃないか♪


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流れ星・・・見た?