なつかしい冬。
サクサク・・・サクサク・・・
サクサクッ・・・サクサクッ・・・
さて?何の音でしょう?
サクサク・・・サクサク・・・
サクサクッ・・・サクサクッ・・・
この冬初めての霜柱を見つけ、それを僕が踏みしめた音。
サクサク・・・サクサク・・・
サクサクッ・・・サクサクッ・・・
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小さな子供の頃から僕は、霜柱を踏むのが好きだった。
このシャキシャキ感がたまらなくイイ・・・。
漆黒の関東ローム層の土が、この時期ばかりは好きになるんだ・・・。
黒茶色の土に、透明の氷はよく似合う・・・。
本当に本当に綺麗なんだよ・・・。
チョコレートのクッキー&シャーベットみたいに見える・・・。
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朝、犬の散歩をしながら、
霜柱を熱心に踏み続けている四十路のオッサンってさ、
傍から見ればかなり異様な姿かもしれないけれど・・・。
わっはっは!これがロックンローラーさ!
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サクサクサクサク霜柱。
季節は巡り、氷の冬。
全部を僕が踏んづけてしまおうかとも思ったけれど、この道は通学路。
あと1時間もすればね、ランドセルを背負った小学生たちが通る道なんだ・・・。
そんな子供たちのために、半分は残しておいてあげようと決めた・・・。
季節は巡り、氷の冬。
サクサクサクサク霜柱。
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風が冷たくてさ、耳がちぎれてしまいそうだ・・・。
でもね、それが冬なんだ・・・。
この冬は、冬らしい冬なのだそうだ。
なんだか変てこりんな日本語だけれど・・・。
冬らしい冬ってね、なんだかとても久しぶりだ・・・。
僕が小さな子供だった頃。
冬は毎年冬だった。
子供の頃の、なつかしい冬の思い出・・・。
〜耳まですっぽりかぶれる帽子。
毛糸の手袋はね、右と左が糸でつながっていたっけ。
しもやけの指。
お風呂に入るとさ、痒くてたまらなかったっけ。〜
なつかしい冬。
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サクサク・・・サクサク・・・
サクサクッ・・・サクサクッ・・・
なつかしい冬の始まり・・・。