年の瀬の一日の出来事。

仕事の打ち合わせのために都心へ出掛ける。
年の瀬の二十日、いつにも増してオフィス街は賑やかだった・・・。
あちらこちらからクリスマスの歌が聞こえ、人間の営みの逞しさに心弾む・・・。

打ち合わせを終え、車を停めた１００円パーキングまでの道を、わざと遠回りして歩いた。

本日は晴天なり・・・。
立ち並ぶビル群のせいで、青空は直線的に切り取られたような形なのだけれど、
それでもとても綺麗な色をしていた。
わっはっは！井の中の蛙、大海を知らず。されど天空の蒼さを知る。・・・って気分だ。
何処にいてもね、どんな時だってね、僕ら人間ってさ、とっても小さな存在なのだけれど、
必ず何かを学ぶ事が出来るような気がする・・・。

がんばろうがんばろう・・・。
今年も残すところ十日あまりだ・・・。
一日を大切にしながら過ごそう・・・。
僕も、あなたも・・・。

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ビルに四方を囲まれた大きな空間を見つけた。
一辺が１００メートル以上はありそうだ・・・。
だが、ここは広場ではない・・・。
公園でもない・・・。
レンガが敷き詰められただけの空間なんだ・・・。

その空間の壁にね、貼られていたのが今日の写真の注意書き・・・。
たった一言、「野球禁止」って・・・。

そう、ここは広場ではない・・・。
ましてや公園でもない・・・。
都会の中にあえて存在させられた空間なのだ・・・。

子供たちの姿はない・・・。
子供たちの声が聞こえない場所ってさ、広場でも公園でもない・・・。
やっぱりただの無機質な空間でしかない・・・。
僕は、今日初めての冷たさを感じた・・・。
恐さを感じた・・・。
今、この広い空間にいるのは僕だけなんだ・・・。
僕以外、人っ子一人いない・・・。
どじょっ子もふなっ子もいない・・・。
一刻も早くこの場所を脱出して、街の喧騒の中に紛れ込みたいと思った・・・。
英語で言うとランナウエイだ・・・。

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しかしだ。
しかしもかかしもないぞ・・・。
なぜに「野球禁止」なのか？
失礼しちゃうなぁ・・・。

他の球技ならばいいのか？

サッカーは？バレーボールは？バスケットボールは？
テニスは？ドッジボールは？ゴルフは？カバティは？

重箱の隅を突付いちゃうぞ！

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たしかにオフィス街だ・・・。
でもね、この街にだって暮らしている子供たちもいるだろうに・・・。

そう考えると切ないな・・・。

この街に暮らす子供たちはさ、どこで野球をすればいいんだろう？
最初っから野球なんてしないのかな？

てくてくと、歩きながら僕は考えていた・・・。

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車を停めた１００円パーキングに辿り着いた・・・。
運転に気を付けて帰ろう・・・。

うわっ！小銭が無いっ！（大銭だって無いけれど。）
パーキング内のジュースの自販機もさ、つり銭切れって表示だ・・・。
オフィス街ってね、意外にコンビニが少ないんだ・・・。

今来た道をもう一度歩く・・・。
徒歩のトホホで１２分・・・。
コンビニで買い物がてらの両替をする・・・。

今日の教訓・・・。
遠回りって本当に遠い・・・。

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写真、もしかしたらね、
「野球禁止」って読むんじゃなくってさ、
「野禁球止」って読むのかもしれない。

そうだったらいいのにな・・・。