冬の散歩道

道行く人は誰もが白い息を吐く。
凍るほど寒い冬の朝の散歩道。


黒目川の水面を、まるで湯煙のように立ち昇る水蒸気。
小サギと鴨の群れが、忙しく行き交う・・・。


自転車を漕ぐ野球少年たち。
彼らもまた、それぞれのグラウンドへと向かい、行き交う・・・。
みんなみんな、輝いておいで・・・。


白い息を吐く・・・。
歩いている人の息は、フワフワと・・・。
ジョギングをしている人の息は、ホッホッと・・・。
自転車の野球少年たちの息は、ハッハッと・・・。


白い息の形が、人それぞれで面白い・・・。


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清瀬ポニーのルーキー、コウジくんに会った。
「おはようございます!」
おう!おはようさん!
「トノサキ先輩と一緒に行きます!」
おう!そうかそうか、車に気を付けてね・・・。


トノサキ先輩かぁ・・・。
トノ(新2年生)も後輩が出来た・・・。
面倒見の良い男なんだもんね、いろいろな事を後輩に伝えるんだろうね・・・。


先輩から継いだ素晴らしい心がある。
それを後輩に伝える・・・。
野球に対する純粋な想いと、ひたむきな気持ち・・・。


清瀬ポニーの伝統も、それだ。
純粋な想いと、ひたむきな気持ちを、
野球に魅せられた少年たちが、リレーのバトンみたいに渡し続けた30年なんだ。


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僕が犬の散歩から帰ると、ちょうどハヤトも出掛けるところだった。
「行って来ま〜す!」って、うれしそうな顔で・・・。


中学野球時代、いよいよ残り僅か8ヶ月・・・。
悔いなく過ごしておくれ・・・。


清瀬ポニーの30年の歴史の中の3年分にね、しっかりと足跡を残しておくれ・・・。
数多の素晴らしい先輩たちの誇りを受け継いだバトンを握りしめて走れ・・・。


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白い息を吐きながら自転車を漕ぐ。


どんな人の息もさ、
同じ色をしているでしょ?


白いんだ・・・。


心だってきっと、みんな白いはずなんだ・・・。