不動橋グラウンドの近くに住む同業者の所へ、どうしても届けなければならない品物があった。
ハヤトと一緒にバッティングセンターへ向かう途中で、ちょびっとだけ遠回りをして届けに行こうと決めた。


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懐かしいでしょ?・・・不動橋グラウンド・・・。
元気いっぱいの小学生たちが野球をするグラウンド・・・。
息子や仲間たちもここでね、たくさんの思い出を作ったんだ・・・。
合川に隣接した、グラウンドと呼ぶよりも空き地・・・。
手作りみたいなベンチが1塁側と3塁側にある・・・。
目を閉じて深呼吸をすると、小さな小さな野球少年たちの歓声が、今でも僕の胸の中に甦るんだよ。
「ワーワー!キャーキャー!ナイスプレー!」って、ね。
石ころだらけの不動橋グラウンド・・・。
とっても大切な思い出の場所・・・。


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不動橋グラウンドの入口近くに車を停めた。


「おっ!おお〜っ!不動橋だっ!」
ハヤトは大喜びをしていた・・・。
「懐かしいなぁ〜!」


ハヤトよう、父ちゃんはすぐに戻るからな、ここで待っていてくれ・・・。


「わかった!いいよ・・・。
 オレは少しだけ不動橋グラウンドを歩いてみる・・・。」


何だかな、息子たちがここで野球をしていたのはね、つい昨日の事のように感じるのだけれど、
本人たちから見れば、はるか昔のように思えるのかもしれない・・・。


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用事を終えて僕が車まで戻ると、ハヤトはすでに車の中にいた・・・。


「こんなに小さかったんだ・・・、不動橋グラウンドって・・・。」


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そう・・・。
父ちゃんもな、大人になってからの同窓会でさ、通っていた小学校に行った事がある・・・。
こんなに学校は小さかったんだと感慨深かったよ・・・。
それと同じ感覚なのかもしれないね・・・。


でも、父ちゃんは思う・・・。
大事な思い出の場所が小さく見えるのはね、とってもシアワセな事さ・・・。


それだけ自分が大きくなれた証なのだから・・・。


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東久留米に暮らす中学野球小僧たちよ、
時間があったら一度、不動橋グラウンドに会いに行ってごらん・・・。
小さく見えたらオッケーさ・・・。
君が大きく成長した証拠だ・・・。


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誰にだって大切な思い出の場所がある。


きっと、いつまでもずっと、
小学生の野球少年たちがね、不動橋を駆けるのだろう・・・。


ここが大切な思い出の場所だと、君の心が思ってくれますように・・・。