青春時代が夢なんて、後からホノボノ思えばイイのだ。

夕方の5時を過ぎてもまだ明るい・・・。
随分と陽が長くなったものだ・・・。
昨日ほどではないのだけれど、今日も充分に暖かかった・・・。


僕がタバコを買ってコンビニを出ると、はす向かいにある停留所にバスが停まっていた。
バスの車中、降車の順番を待つ人たちの列に、娘の姿を見つけた・・・。
娘はお財布を仕舞い、カバンを掛けなおしながらバスを降りた・・・。
彼女は僕に気付く気配すらなく歩き始める・・・。
高校1年生・・・。青春の第一歩をいっぱいに謳歌している娘・・・。
いつも、そんな様子が親父はうれしかったりする・・・。
最近、僕と二人の時は、めっきりと口数も減り、少しだけ寂しい想いをしているけれど・・・。
10メートルほどの距離を保ちながら僕は、娘の後ろを歩いた・・・。


川沿いの遊歩道に入ったところでね、いきなり背後から抱きついてやろうかな?
喜んでくれるかな?
悲鳴を上げて泣いちゃうかな?
僕が逮捕されちゃったりしてな・・・。


娘の後ろ姿は、まったくもってイマドキの女子高生だ。
なにやら携帯電話をピコピコしながら歩いている。
お〜い、つまづくんじゃないぞ・・・。
お〜い、転ぶんじゃないぞ・・・。
心配だ・・・。心配だ・・・。心配という名の甘酸っぱい親父心・・・。
娘ってさ、存在そのものが親父にとっての最大の弱点なのだ・・・。


大きくなったものだ・・・。
可愛くて可愛くてたまらん・・・。
心配で心配でたまらん・・・。
ケサラン・パサラン・・・。


結局、そのまま10メートルの違いで我が家に到着・・・。


とっても疲れた・・・。


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「父さん、素振りを終えたら布ボール投げてね。」


娘に較べると、やっぱり息子との行動は気が楽だなぁって感じる・・・。
パコーン!パコーン!ってね、バッティング練習・・・。
こんな時間の共有が出来るんだもの・・・。


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そうそう、受験シーズン真っ盛り。
去年の今頃の切なさを思い出すんだ・・・。
塾の送り迎えの車中で娘と交わした会話のひとつひとつを思い出すんだ・・・。
本人は辛かったろうし、苦しかったろうと思う・・・。
でもね、その時の厳しい道程が娘を少しだけ大人にしてくれた・・・。
その道程を乗り越えたからこそ謳歌出来る青春があるのかもしれないって僕は考えている・・・。


過日、バッティングセンターでね、清瀬ポニー29期生のSくん(現・中学3年生)に会った・・・。
久しぶりに元気そうな顔を見る事が出来て、僕はとってもうれしかった・・・。
受験生だもんな、今、辛いだろうし、苦しいだろうと思う・・・。
やっぱり僕は、がんばれがんばれしか言えない・・・。
がんばってがんばって受験を乗り越えてほしい・・・。
この道程を乗り越えてさ、高校での野球を謳歌してほしいんだ・・・。
いつまでも息子たちが尊敬するS先輩で在り続けておくれ・・・。


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青春の一歩目を歩いている娘・・・。
青春の一歩目を歩き出すために奮闘するSくん・・・。
青春の入口に立ったばかりの息子たち・・・。


青春時代が夢だなんてな、それは後になってからホノボノと思うものなのだ・・・。
青春時代の真ん中はな、胸にトゲ刺す事ばかりだ・・・。


あれ?どこかで聞いたセリフだなぁ・・・。


アオイクマ・・・。
負けないでがんばれ!