生き抜く
奥さんと生後7ヶ月の長男を手にかけ、自分だけは死にきれなかった男は43歳。
僕と、同年代だ・・・。
僕らの町で起きた悲しい事件に、ただ胸が詰まる・・・。
休日明けの金曜日の今日、そんな悲しい事件など無かったかのように、淡々と町は、平日の時間が流れていた・・・。
将来を悲観しての凶行だったという・・・。
でもね、それでも、何故?って、僕は思い、ずっとずっと考えていた・・・。
7ヶ月の赤ちゃんだ・・・。
これから生きるであっただろう日々は、もちろん大変な事だってたくさんあるけれど、楽しくてお腹がよじれるほどに笑える事だってね、それ以上にあったはずなんだ・・・。
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せっかく生まれてきたんだもの。
どんな事があったってさ、最後まで生きなきゃ。
僕らは親だ。
自分よりも小さな命を授かった時に、僕らは親になった。
自分よりも小さな命なら、大切に育てなきゃ。
自分よりも小さな命が、自分よりも大きな命に成長するまで。
そのために自分の命を使うべきなんだ・・・。
それが親の使命だ・・・。
命を使うと書いて、使命と読む。
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僕も、世の中のオジサンの99.9%を占める格好悪い親父の中の一人だ。
でもね、生きてみせる。
格好悪くても、しぶとく最後まで生き抜く姿を自分の子供たちに見せるつもりだ。
あんなんなっちゃったり、こんなんなっちゃったりしながらもね・・・。
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開き直って生きている・・・。
僕は、開き直って生きている・・・。
矢でも鉄砲でも持って来い!って、言いながら生きている。
でも、もし本当にね、矢とか鉄砲が出てきちゃったらね、素直に謝っちゃったりするだろう。
その程度に開き直りながら生きている・・・。
それでいいんじゃないだろうかと思う。
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今日もいつもと同じく、カキーン曜日のバッティングセンターへ行く。
助手席に座る息子の横顔を、車のミラー越しに見る・・・。
もうちょっとで息子は、僕よりも大きくなる・・・。
困難な時代を生きなければならないだろう息子たちの世代を想う。
でもね、それは絶対に憐憫なんかじゃない・・・。
僕が息子に望む事は、将来、格好悪い99.9%のオジサンの一人になってほしいと言う事だけだ。
間違ってもね、0.1パーセントの側にはなってほしくない・・・。
悲観も楽観も達観して、人生を深く味わいながら生き抜いてもらいたい。
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僕が大好きな町で起きた悲しい事件。
そんな日にも僕は、ただ淡々と日常を生きている・・・。
なんて自分は小さいのだろうと思う・・・。
胸はこんなにも痛むのだけれど、結局は何も出来ない自分の小ささを思う・・・。