ジョリーン

月曜日なら雨でよい。
気温も低く、気持ちが引き締まるからだ・・・。
平日なり。
真っ平らな一日・・・。


春なのに寒風吹きすさぶのさ、ピュ〜っとな・・・。
え?僕のお財布さ・・・。
お小遣いが支給されるのは明日・・・。
明日という日は明るい日と書くのね。
今日一日は、静かに過ごすべきだろう・・・。
明日よ来い!早く来い!
すっからかん・・・、すっからかん・・・。
すっからかんかん、すっからかん・・・。


ハヤト、父ちゃんに290円を貸してくれないか?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


話しは変わる。ガラリと変わる。


沖縄遠征を前にして、ハヤトは生まれて初めての坊主頭になった。


親の欲目ではなく、その頭のカタチの美しさに驚いた・・・。
球体なり・・・。見事なる球体なり・・・。
球体の球は、野球の球。
すごく良い・・・。
少林寺とかにいる若き僧侶の姿さえ連想させる・・・。
僕は、思わず手を合わせた・・・。
ありがたい・・・ありがたい・・・、な〜む〜・・・。
もしも肩にオウムを乗せていたら、まるでビルマの竪琴・・・。
一緒に日本へ帰ろうって言いたくなるほどの神々しさだ・・・。


決して坊主頭を強制させるクラブチームではない。
だが、本人が自分で決め、選択したのだ。
親父はその気持ちを尊重しよう・・・。


格好いいぞ。
坊主頭ってさ・・・。
僕も愛娘の思春期が終わったらね、また坊主頭にするつもり・・・。


野球小僧の坊主頭については、そう、賛否両論があろう・・・。
だが、また放っておけば伸びるのだ・・・。
そんな議論は不毛である・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


くりん・くりん・・・。
手で触らせてもらうと気持ちいい・・・。
がしがし・がしがし・がしがし・がしがし・・・。


手のひらに伝わる感触・・・。
がしがし・さわさわ・がしがし・さわさわ・・・。


気持ちいいのだ。
がしがし・がしがし・さわさわ・がしがし・・・。


もっと触らせろ!
がしがし・がしがし・さわさわ・じょりじょり・・・。
わっはっは!


「父さん、・・・いい加減にしてくれ・・・。」


頼む。もっと触らせてくれ・・・。
お小遣いが入るのは明日・・・。
他に楽しみが無いんだよ、今日は・・・。


さわさわ・がしがし・じょりじょり・さわさわ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さわさわ・・・。