格好E!
弥生の夜空、街灯に照らされたソメイヨシノ。
今のところ、東京の郊外では二分咲き・・・。
今夜は少し寒く、より懸命に咲こうとしている花びらが愛しい。
・・・大きい花もある・・・。
・・・小さい花もある・・・。
・・・そろそろほころぶような膨らんだ蕾もある・・・。
もう少しで咲き揃うだろう・・・。
同じ大きさと美しさで咲き揃うだろう・・・。
なんと佳き命の在り方だろう・・・、ソメイヨシノよ・・・。
今年も咲いてくれてありがとさん・・・。
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終業式。
午前中いっぱいでハヤトは帰宅。
全力野球モードの坊主頭を学校で笑われてしまったと言う・・・。
わっはっは!って、僕は笑いながらね、その話を聞き流す・・・。
いいじゃないか、笑いたいヤツは笑わせとけ・・・。
でもなぁ、ハヤト・・・。
君は気付いたか?
ポニーだけではなく、いろんな所で野球をしている同級生たちはさ、誰も笑わなかっただろう?
野球少年の仲間たちは笑ったりしなかっただろう?
それでいいじゃないか、笑いたいヤツは笑わせとけ・・・。
野球小僧の坊主頭を笑うヤツらはなぁ、後頭部がみ〜んなゼッペキだ。間違いない。
きっと羨ましいのさ。(たぶん。)
わっはっは!どうだ?慰めになったか?
じょりじょり・じょりじょり・がしがし・・・。
だから父ちゃんに触らせろって・・・。
がしがし・じょりじょり・さわさわ・・・。
気持ちいいぞ!スカッと爽やか!坊主頭!
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お昼ごはんを食べながら、僕ら親子はテレビで甲子園を観戦する・・・。
ハヤトの目はキラキラと輝く・・・。
そうそう、清瀬ポニーの先輩たちの学校はね、2回戦進出を決めている・・・。
きっと、今頃、日本中で、
たくさんたくさんの小学生や中学生の野球小僧たちが見てる。
甲子園をテレビで見てる、てるてる、テルテル坊主だろう。
目をキラキラと輝かせながら・・・。
夢、大きく大きく育てておくれ・・・。
おっ、イニングチェンジでベンチに戻った選手たちが帽子を取り、汗を拭っているぞ・・・。
負けていても勝っていてもイイ笑顔だ・・・。
見たろう?鬼太郎・・・。
格好いい高校球児たちもね、み〜んな坊主頭だぞい!
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だからもっと触らせろ!坊主頭を!
わっはっは〜っ!がしがし・じょりじょり・・・。
「父さん・・・、本気でオレが怒る前にやめてくれ・・・。
・・・オレの頭から手を離してくれ・・・。」
じょり・・・じょり・・・じょり・・・
・・・ごめん・・・。