野球が君を強くしてくれたんだよ。
1.
片付けをして僕は、「黒土」なる小さな冊子を見つけた。
これは、息子たちの学校で作った、懐かしい感じがいっぱいの本だ・・・。
先生方の自己紹介的な文章や、各クラス、各クラブの紹介など、活気ある学校の様子がわかり、楽しい・・・。
今日僕が見つけた、「黒土」最新号(とは言っても、しばらく前に出されていた物だ。)の中に、
生徒会長の挨拶として、ハヤトが書いた文章が載っていた・・・。
「ぼくは、学校が好きです。
学校に来る事が楽しくてたまりません。
(中略)
もし、いじめられている人がいたら、助けてあげたいです。」
申し訳ない、いささか手前味噌な記述になってしまう事を御容赦願いたい・・・。
ただ僕は鼻の奥がツンとして、少しだけ嬉しい涙が出ただけだ・・・。
僕はとてもダメな父親なのだけれど、思う。
僕が息子の心の中に蒔いた種が芽吹き始めている手応えが、ある。
〜学校は楽しいところ。
それは、トモダチがいるからだ。
学校は楽しいところ。
いいかい?
一番寂しそうな顔をしている人とトモダチになりなさい。
人間は誰だって、どんな人だってね、
シアワセになるために生まれて、
シアワセになるために生きているんだよ。〜
勉強をしろ!なんて、僕は一度も口にしていない・・・。
ただ、みんなで一緒にシアワセになれる道を探せるような人間に育ってほしいと祈り続けただけだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
テストの点数なんかじゃない・・・。
5段階の数字でね、人間の優劣が判断されてたまるものか!って、僕は言う人間だ・・・。
人はシアワセになるために生まれて、
シアワセになるために生きているのさ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
息子よ、
どこかで悲しむ誰かの涙を、
捨ておけぬ人間になれ・・・。
君に対する僕の期待は、それだけだったんだよ。
概に僕の、父親としての役割は終わっているのかもしれないね・・・。
「黒土」を、ありがとうな・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.
みんなでシアワセになれる道・・・。
君にとっての野球が、それであったとしたら、こんなにもウレシイ事はない・・・。
ちっちゃな小学校低学年の頃、
小山ドラゴンズにさ、トモダチが入部するたびに君は喜んでいた・・・。
「ワーイ!ワーイ!
一緒ニ野球ガ出来ル!」って、ピョンピョン跳ねていたっけ・・・。
野球があってシアワセだったね・・・。
みんなで力を合わせる事の大切さをさ、
野球は君に教えてくれたね・・・。
野球って楽しいだろう?
野球ってシアワセだよね・・・。
それは、仲間がいるからだ・・・。
み〜んなで一緒にいられるからだ・・・。
野球にさ、感謝しよう・・・。
野球の神様に感謝しよう・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3.
先日、清瀬ポニー、島田総監督との面談に、
3年生の父母である僕とカミさんは臨んだ・・・。
〜野球が強く、家から近い高橋〜の名を、
僕は、総監督の口から聞いた・・・。
70人近くもの「孫たち」の夢を、
総監督はね、しっかりと把握している・・・。
「わっはっは!
アイツ(ハヤト)がポニーに来た時のな、変な投げ方を覚えているか?」
そうそう、担ぐような変な投げ方をしていました・・・。
「アイツはな、どんな状況になったってな、
途中で投げ出したりなんかはしない男だ・・・。」
総監督の心に触れる・・・。
すべての野球が好きな子供たちを宝物だと言える指導者の心に触れる・・・。
僕は、涙が出そうになった・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4.
夏休みの今日も、
ハヤトは野球に出掛けている・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いろんな事を考えている・・・。
ダメな父親の僕だ・・・。