あこがれのグラウンドに立つ優しい木。
ここにも優しい木がある・・・。
ずっとずっと球児たちを見守ってきたであろう木がある・・・。
すっくと立ち、穏やかな木陰を与えてくれる優しい木は、
球児たちの数え切れぬ程の涙や汗や、歓喜の声を知っているんだろうな・・・。
あこがれの高校の、野球部のグラウンド。
そこに立つ優しい木の表情を見る時、
真っ直ぐに白球を追う球児たちのすべてが、
まさしく青春そのものなのだと僕は思う。
優しい木よ、
瑞々しい緑の息吹よ、
黄金色に映える葉の煌きよ、
いつまでも球児たちの隣にそびえていておくれ・・・。
そして、彼らのシアワセを祈り続けておくれ・・・。
木には、心がある。
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幹の傍らに立ち、
ずっとずっとあこがれの先輩たちの練習を見つめる中学3年生の顔を、
この木は憶えてくれただろうか・・・。
来春、彼がここへ来る日を共に待ち続けてくれるだろうか・・・。
優しい木は・・・。
息子のあこがれのグラウンドに立つ優しい木は・・・。