高校野球準備編。

学校に於ける三者面談があり、いよいよの想いでハヤトとカミさんはそこに赴く。
僕なんかはただ、見守る事しか出来ないのだからと、一切それにはノータッチ・・・。
だが、晴れがましい表情で帰宅してきたハヤトの姿を見た時、少しだけ胸がジンとした・・・。


あこがれの高校へ!
その挑戦権を得る・・・。


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「どうしてもオレは、あの高校で野球をしたい・・・。」


ずっとずっと言い続けていた・・。


「オレ、あの高校以外は行かないよ・・・。
 他の高校は受けないよ・・・。」


頑固者の言葉に僕ら親は、
ずっとオロオロしていただけに少しだけホッとした。


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僕は、その高校の野球部のグラウンドに生えている木を思い浮かべた・・・。
その木に向けて、心の中で祈った・・・。


どうか呼んでほしい。って・・・。
木よ、君が見届けんとする数多の球児たちの列の最後尾に、
ハヤトを呼んでほしい。って・・・。


カキーン!だ。


君の幹に寄り添うように立ち、ずっとグラウンドを見つめていた中学生の顔を、
君は覚えてくれただろうか?


どうか木よ、呼んでほしい。


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いざ!新しき世界へ!


挑め!


息子よ・・・。