冬の散歩道。

とても澄んだ色の空だ・・・。
こうして好天が続いているのだけれど、寒い・・・。
ビュワっと北風が強く、耳が千切れてしまいそうなほど寒い・・・。


犬のタロウを抱っこしながら歩く・・・。
犬の散歩ではなく、僕の散歩だ・・・。
ダッコちゃんみたいにしがみ付いているタロウに話しかけながら、僕は大好きな町を歩く・・・。


おい、タロウ・・・。
ここが僕らの暮らす町・・・。
耳元で僕がささやくたびに、キョロキョロと景色を見渡していたタロウが僕の顔を見る。
うっとりとした表情で僕の顔を見つめる・・・。
僕の顔なんかをね、こんなにもうっとりと見つめてくれるのは、地球上でタロウだけだろう・・・。

雑木林も冬の装いだ。
木々たちも冬の寒さをこらえている・・・。
だが、しっかりと天空を指して立つ姿は、本当に美しいものだと僕は思う・・・。


タロウは、家の中では元気いっぱいに走り回っているのだけれど、
外では一歩も歩かない・・・。
歩かないどころか、地面に降ろそうとすると、くるりんと身体を丸めて、四本の足で僕に抱きつき離れない・・・。
力強く飼い主を引っ張るような勢いで歩いている、よその御宅のダックスフンドが笑いながら通り過ぎていく・・・。
「ワンワン!オマエ、アマッタレ君ダナ。」って言ってるような表情だ・・・。


北風が吹く冬の散歩道・・・。



冬の公園・・・。
この公園の名前は、ね、「小山、森の広場」だ・・・。
なつかしいなつかしい公園・・・。


今ではすでに昔の事だ・・・。


小学生時代のハヤトとチームメートたちは、
毎日この公園で野球の練習をしていたんだよ・・・。


ついこの間のように思えるのだけれど、
今ではそれは昔の事だ・・・。


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冬休みなんだもの。
もう少し日が高く昇ったらね、
この公園は子供たちで賑わうだろう・・・。


たくさんの子供たちの笑い声を思い浮かべて僕は、
今では思い出になったなつかしい日々を振り返った・・・。


公園がある。
公園はいつだって子供たちの笑顔で満たされている。
それってとてもシアワセな事だ・・・。
僕らの町は、シアワセな町だ・・・。


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タロウを抱っこして歩く・・・。


大好きな町を僕は歩く・・・。


北風がとても強いのだけれど、
僕はシアワセな気持ちだ・・・。


ワンワン!