SOPPO

夕方近く、車で出掛けた・・・。
しばらく行くと前方に、自転車で下校途中の娘を発見した・・・。


ほれみろ!
やっぱりスカートが短すぎだっ!


父親として心配がいっぱい・・・。


コートを着て、フワフワのマフラーをして、
上半身は暖かそうなのだけれどな、
スカートが短くて、とても寒そうだ・・・。


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娘も遠くから僕の車を見つけたらしく、手を振ってくれた・・・。


その様子が我が娘ながら可愛いな〜って思った・・・。


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せっかく手を振ってくれたんだ。
気難しい年頃の娘が手を振ってくれたんだもんね、


僕は、精一杯にそれに応えなければと思った・・・。


それが親心ってものさ・・・。


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僕は、
パッ・パッ・パッ!ってパッシングを繰り返し、
ピッ・ピッ・ピー!ってクラクションを鳴らし、
窓を全開にして手を出し、思いっきり大きく振った・・・。


娘の名前を叫び、おかえり〜っ!って言った・・・。


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へっへっへ!どんなもんだい!


「ただいま。」と「おかえり。」
そんな会話が出来るシアワセを噛み締めながら・・・。


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ところが、である。
娘の表情は引きつっていて、
僕の車とすれ違う瞬間、サッと横を向いた・・・。


いわゆる、ソッポを向くという行為だ・・・。


何でだろ?
恥ずかしかったのかな?


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僕が用事を済ませて家に帰ると、
娘は、ものすご〜く怒っていた・・・。


何でだろ?
やっぱり恥ずかしかったのかな?


なにしろ気難しい年頃だもんな・・・。


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親の心子知らずとは、まさしくこの事だ・・・。