流行りの立体マスク

予定よりも少しだけ早く仕事が終わった・・・。
散歩がてら近くまで僕は買い物に出掛ける・・・。
川沿いの遊歩道に並ぶソメイヨシノの枝を見ながら歩く・・・。
とても天気が良く、ポカポカと暖かな午後だ・・・。


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前方に、下校途中のトノ(清瀬ポニー31期、新3年生だ。)を見つける。
「こんちわッス!」って、大きな声で挨拶をしてくれた・・・。
ニコニコ・ニコニコと、トノはいつも笑っている。
何か良い事でもあったのかな?
オッケーオッケー、人間は、ね、笑っていればいいんだよ。
シアワセは、笑っている人のところにやって来る・・・。


それを、昔の人は四文字熟語で笑門来福と言った。
テストに出るぞ、憶えておけ・・・。


トノよ、ずっとずっとニコニコ笑う君でいてくれな・・・。
今週末こそオジサンはグラウンドに行くからな・・・。


じゃ、な・・・。
わっはっは!カキーン!だ。


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スーパーで、野球親父の先輩であるSさんに遭う。
Sさんは大きなマスクを着用していた・・・。


あれ?花粉症ですか?って、僕は聞いた。
「いいや、花粉症じゃないよん。」と、Sさんは言う・・・。
それなら風邪ですか?って、あらためて僕は聞いた。
「いいや、風邪でもないよん。」と、Sさんは答えた・・・。


「特に意味は無いのさ。流行っているからな、このマスク。」だと・・・。


Sさんは穏やかで優しい人なのだが、顔は恐い・・・。
僕が思うに、たぶん、恐い顔を立体マスクで隠しているだけなのだろう・・・。


え?
Sさんの顔はどれ位恐いのかって?
う〜ん、そうさなぁ・・・、
たとえば、ね、
頭からスッポリと女性用のストッキングをかぶり、
しかもそのストッキングをちょびっと上に引っ張ったような顔だ。
それ程ハイレベルな恐い顔だと言えよう・・・。


立体マスクが流行していて良かった。
まさしくめでたしめでたしだ・・・。


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しばらくの間、子供たちの野球についての会話を交わす・・・。


「また連絡するからな、久々に飲もうぜ!」


立体マスクの中から、ね、くぐもった声が聞こえた・・・。


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はっ、はっ、はくしょ〜ん!


はくしょん大魔王だ。


呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ〜ン。


僕モ立体マスクガ欲シイ・・・。