学校の1年度の活動を報告する冊子が今年も配布された。


役員紹介の頁に、生徒会長としてのハヤトが書いた感謝の言葉が載っていた。
自分が何をしたかではなく、周りの人たちへの想いに重きを置いた文章だったから、
それこそ素晴らしい経験をさせて頂けたのだと僕も、コイツの親父として、そう、
周りの方々への感謝の気持ちでいっぱいになる。


「みんなが学校に来る事が楽しくてたまらないと思えるような学校にしたい。」
そう言っていたハヤトの気持ちは、多くのトモダチの心と一つになって、
みんなの力で目標へと突き進めたようだ・・・。
結局、ね、人間ってヤツは、一人では何も出来ないと学んだだろう・・・。
でも、みんなの心を一つにすれば、どんな夢だって叶えられるんだとも学んだだろう・・・。


みんなが力を合わせようとがんばった時、みんなが学ぶ・・・。
それに気付いただろうと思う。
誰かの悲しみや痛みを知り、立ち向かおうとしただろう?


誰かの悲しみに悲しむ心や、誰かの痛みを痛いと感じる心を知る・・・。
誰かのシアワセを願う心を学ぶ・・・。


中学校で学ぶ事って、さ、きっとそれで充分なんだよ・・・。
みんなでがんばったんだ。


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その頁に、ハヤトの似顔絵がある・・・。

これは、クラスメートの女子、Sさんが描いてくれた物だ・・・。
あまりにも格好よく、逆デフォルメされている絵なのだけれど、
その繊細な線に、きっとSさんは、優しい女の子なのだろうなって思った。


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クラス紹介の頁には、クラスメート全員の似顔絵をSさんが描いている・・・。
とてもとても暖かい雰囲気に溢れているんだ・・・。


同じ繊細な線のタッチで、ひとりひとりの特徴をとらえて上手に描いてあるSさんの絵・・・。


きっと、ね、Sさんは教室でトモダチの顔をデッサンして、
自宅で似顔絵を仕上げたのだろうな・・・。
おそらく、何日も何日もかけてクラスメートの顔を仕上げたのだろうな・・・。


ひとりひとりの姿を思い浮かべて仕上げたであろうSさんの気持ち・・・。
仲間を大切に想う気持ち・・・。
Sさんの心の中には、そんな気持ちがいっぱいに満ち溢れているんだろうな・・・。


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みんなみんなシアワセな中学校生活を過ごせたんだね・・・。
Sさんの描いたクラスメートたちの似顔絵を見ながら僕は実感した・・・。


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旅立ちを迎えた今、
穏やかな笑顔で包まれた教室・・・。


開け放したカーテンから射しこむ光の中で輝くクラスメートたち・・・。


トモダチは宝なのだ・・・。