「下積み」って言葉がある。
どんな道でもな、「下積み」って言葉がある・・・。
おそらく、一番の下位にいて、そして積み上げるって意味なのだろうけれど、
何を積み上げればいいのだろう?って考えた事はあるだろうか・・・。


僕はそれを、高校の入学式を翌日に控えた息子に問いかけた。


「・・・経験なんじゃないかな・・・。」そう息子は答えた・・・。


なるほどな、たしかにそうだとも言える・・・。
だが、残念だがその答えは不正解だ・・・。
ピンポ〜ンじゃない・・・。
ブブブのブ〜だ・・・。
経験を積むのは別にさ、下積み時代などではない・・・。
下積み時代に経験を積もうだなんて考えは不遜だ・・・。
ナマイキだぞ!この野郎!ってね、きっと言われちゃうぞ・・・。


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「下積み」に於いて「積む」のは、「徳」・・・。


「徳を積む」・・・って事だ・・・。


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僕は、特定の宗教なんかの話をしているのではない・・・。
ただ、「徳」について語っているだけだ・・・。
「徳」とは、人が生きる上でずっと、そう、普遍的な真実なんだよ・・・。


お金や地位・・・。
名誉や土地・家屋・・・。
いわゆる目に見える財産・・・。
それらは、ね、「徳」とは違う・・・。


使うと無くなっちゃったり・・・、
失敗すると消えちゃったりする「物」は、さ、「徳」とは呼ばない・・・。


難しい話になってしまうものだから、
僕は、少しずつ少しずつ息子に伝え続けようと思う・・・。


使っても消えない・・・。
使うと逆に増えたりする・・・。
それが、「徳」・・・。
もしかすると、人間が唯一手に入れる事が出来る財産が、「徳」・・・。


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「ううっ・・・、ワタクシの不徳の致すところで・・・、
 ううっ、誠に申し訳ございません・・・。ううっ、ううっ・・・、」


よくニュースなんかで目にする光景なんだけれど、
そう言って泣いてる大人がいるでしょ?


本当に「徳」の意味を知っているのかどうか、甚だ疑問に思う事しきり・・・。


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さて、いよいよ明日、
高校の入学式なり。


春爛漫・・・。


「徳」について僕は、とくとくと説く。