まるで人力飛行機が飛び立つ瞬間みたいだった。
補助輪を外したばかり・・・。
きっと、補助輪を外したばかりなのだろうな、
ちいさな自転車だ・・・。
ちいさな自転車と、
ちいさな男の子と、
そしてお父さん。
ちいさな男の子が補助輪無しで自転車に乗れるようになるための練習だ。
ゴールデンウイークの中の一日、
犬を抱っこして散歩しながら僕は、そんな親子の姿を見掛けた・・・。
のどかでシアワセな初夏の朝だ・・・。
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ちいさな男の子は、ちいさな自転車のペダルを漕ぐ。
お父さんは荷台を押さえながら一緒になって走る。
ふらふら〜っと、
ゆらゆら〜っと、
なんとも心もとないのだけれど、
とりあえずちいさな自転車は前へと進む・・・。
何度も止まり、何度も足を着き、
時々ちいさな自転車は倒れたりもしていた・・・。
それでも笑顔・・・。
ちいさな男の子も、お父さんも、とてもイイ笑顔だった・・・。
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ふわり・・・。
そう、ちいさな自転車はふわりと走り出した・・・。
ちいさな男の子を乗せた自転車は、ふわりと走り出した・・・。
荷台をしっかりと押さえていたお父さんの手を離れて、
ちいさな自転車はふわりと走り出した・・・。
ちいさな男の子の、おおきな笑顔。
自分の力で走り始めた瞬間の笑顔。
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ちいさな男の子と、ちいさな男の子を見守るお父さんの距離は、
見る見る離れていく・・・。
眩しげに見守るお父さんも笑顔。
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何度も何度もきっと、
人はこうして巣立つ。
こうして巣立つ事を繰り返して人は、
どんどんとイイ笑顔になる・・・。
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イイ笑顔を見た。
今朝も僕はイイ散歩をした。