昨年末、病院へ御見舞いに伺い、いろいろと話した・・・。
病状を聞き、涙し、僕は、僕なりの覚悟は出来ていた・・・。
くれぐれも誰にも口外せぬように念を押され、僕はずっとずっと黙っていた・・・。
たくさんのたくさんの、それこそ数え切れぬほどの小さな子供たちに野球の楽しさを教え、
その人は逝った・・・。


このひと月、僕は、立て続けに大切な人が逝くのを見送る・・・。
泣いて泣いて、涙は枯れ果てたと思っていたのだけれど・・・、
次から次へと新しい涙が溢れ出して止まらないんだよ・・・。


「東久留米の、少年野球の仰木彬」こと、小山ドラゴンズ小川監督逝く・・・。


数え切れぬほどの小さな少年たちとキャッチボールをした人が逝く・・・。


トモダチと力を合わせることの大切さを教えてくれた人が逝く・・・。
「なっ?野球って楽しいだろ?」って、いつも言っていた人が逝く・・・。


背番号「30」が逝く・・・。


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バケツをひっくり返したような雨が夜、降った・・・。


だが、朝、
少しずつ雲は消え、眩い青空となった・・・。


青い空を僕は見上げて思う・・・。


この青い空を背景にして飛ぶ白いボールが見たい・・・。


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小川監督・・・。


僕は、あなたが大好きでした・・・。


あなたの背番号「30」の傍で、
父兄の一人としてなのだけれど・・・、
お手伝いをさせて頂いた僕は、シアワセでした・・・。


あなたの背番号「30」と共にいる時、
僕も、野球少年の一人になっていました・・・。
小さな野球少年の一人に戻っていました・・・。


僕は、僕の古いグローブを今、見つめながらあなたを思い出しています・・・。
小川監督・・・。


僕は、あなたに声をかけたい・・・。


「オ父サン、キャッチボールシヨウ!」