小山ドラゴンズ、小川監督・・・。
その人は、決して他者を責めるような言葉を語らなかった・・・。
その人の口は、決して批判を語らなかった・・・。
優しくて暖かくて、大きな人であった・・・。


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背が高く、スラリとしていて、
お洒落で、ダンディーで・・・、
信じられぬほどシャイな人だった・・・。


人前や、目立った場所に立つのが苦手で、
いつも、
「オレは、いいよ・・・。」って、遠慮ばかりしていた・・・。


でも、ね、
いつだって子供たちの近くにいた・・・。
背が高いから、ね、
いつもしゃがんで子供たちと話していた・・・。


「野球ってさ、楽しいだろ?」
負けたって勝ったって、
いつだって言っていた・・・。


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東久留米の少年野球界の、まさに仰木彬だった・・・。
僕が勝手に名付けたのだけれど、
あの、ね、
小川監督の人柄を知る人ならばきっと、頷いてくれると思う・・・。


子供たちを信じていた・・・。
野球が好きな子供たちを誰よりも信じた人だった・・・。


小山ドラゴンズ、小川監督・・・。


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通夜、
僕は、息子たちの代の選手たちと参列させて頂いた・・・。
みんなみんな大きくなった・・・。


「小川監督にお礼を言いなさい。」って、
それだけを僕は、彼らに言った・・・。


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その時、
夜のお寺の山門をくぐり、
現役の小山ドラゴンズの少年たちが、
ユニホーム姿でやって来た・・・。


整然と、2列だった・・・。


高学年の選手が、
低学年の選手の手をしっかりと握りながら・・・。


僕は、
あらためて今、
この地域の、この学童野球チームを誇りに思う・・・。


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小学生の野球選手たちの姿を見ながら、ね、
小川監督の言葉を思い出すんだ・・・。


「なっ?
 野球って楽しいだろ?」


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