東久留米の、小山ドラゴンズに、ね・・・。
東久留米市は、典型的な東京郊外の街だ・・・。
畑があり、新興住宅地があり、それが自然なかたちで融和している・・・。
とても綺麗な水をたたえる川が流れていて、夕焼けが良く似合う景色があって、
何よりも何よりも、ね、人が皆、心暖かい・・・。
僕は、東久留米市が好きだ・・・。
おそらく僕も、この街で、人生を閉じるまで泣き笑いしつつ過ごすのだと思う・・・。
今日は、とてもとても空が澄んでいる・・・。
きっと、美しい夕焼けが空を覆うだろうと思う・・・。
僕は、小川監督の告別式に参列させて頂いた・・・。
あの暖かかった手と握手をした・・・。
小山ドラゴンズの、あのオレンジ色のツバの帽子が棺の中にあった・・・。
この帽子をかぶって笑っていた小川監督に、僕はどれだけ勇気を貰った事だろう・・・。
小山ドラゴンズの帽子と一緒に、ね、
高校球児になった少年が贈ったボールがあった・・・。
棺の中にあった・・・。
「野球を教えてくれてありがとうございました。」って、ね、書いてあったんだよ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小川監督は、遠い所に行ってしまうのだけれど・・・、
小山ドラゴンズの帽子と・・・、
高校球児になった少年から渡されたボールを持って旅立ったんだ・・・。
寂しくも悲しくもないはずだ・・・。
ただ、僕は思う・・・。
もっともっと、
まだまだずっと、
これから生まれる未来の少年たちにも、ね、
野球を教えてあげてほしかった・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
野球ってね・・・。
素晴らしいスポーツなんだよ・・・。
素晴らしいスポーツなのにさ、どうしてたくさんのちっちゃな子供たちが傷付いてしまうんだろう?
傷付いて野球から、ね、離れてしまうんだろう?
言っておく・・・。
僕は、言っておく・・・。
小川監督は、ね、
東久留米市の小山で、
30年以上もずっと、
野球の楽しさや素晴らしさを教え続けていたのだけれど、
ひとりとして傷付けなかった・・・。
野球の好きな子供の心を、
ひとりとして傷つけなかった・・・。
間違いなく少年野球の、
世界一の指導者だった・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「な?野球って楽しいだろ?
試合に勝ったり、
優勝出来たりしたら、さ、イイかもしれない・・・。
でも、よう、オレは思うんだよ・・・。
試合に勝ったり優勝したりする事を目標にするならいい・・・。
それを目標にするならいい・・・。
だが、それを目的にしちまうチームが多いからいけないんじゃね〜か?
楽しいはずの野球でよ、
どうして子供が泣かなきゃならね〜んだ?」
これは、小山ドラゴンズの、小川監督の言葉だ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
東京、
東久留米市の小山で、
この人から野球を学んだ子供たちはシアワセである・・・。
この人から野球を学んだ、数え切れぬほど多くの子供たちはシアワセである・・・。
野球って、ね、
楽しいんだぜ・・・。
ひとりじゃ出来ないだろ?・・・、
みんなで力を合わせるから楽しいんだぜ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
黒とオレンジ色のユニホーム・・・。
小山ドラゴンズのユニホーム・・・。
格好いいユニホーム・・・。
素晴らしい野球をこれからもずっと、
この街で、この地域で、
ちいさな少年たちに教え続けていくであろうチーム・・・。
それが小山ドラゴンズ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小川監督・・・。
僕は、これからもずっと、
この街で、この地域で暮らしていきます・・・。
何年後も、
何十年後も、きっと、
ドラのユニホームを着たチビッコをきっと、
この地域に住んでいる限り、目にするだろうと思います・・・。
バットを背負い、ちっちゃな自転車を懸命に漕いで、
小山小学校に向かう姿を・・・。
僕は、その度に、
あなたの事を考えるだろうと思います・・・。
小川監督・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小川監督・・・。
いけねえや・・・。
僕は、ちっちゃな子供に戻りてえや・・・。
ちっちゃな子供に戻って、
父さんに買ってもらった新品のグローブを持って、
あなたの所に自転車を漕いで行きてえや・・・。
そしてあなたに、
野球を教えてもらいてえや・・・。
小川監督・・・。