しかし財布・・・。
落としていたなんてな〜、まったく気が付かなかった・・・。
本当に助かった・・・。
本当に本当にありがたかった・・・。


現金はヒジョ〜に少ないのだけれど、
免許証だろ、各種クレジットカードだろ、
仕事で使う古物商の認可証だろ、
いろんなお店のポイントカードだろ、
もしも失くなっちゃったらな〜と思うだけでゾッとする・・・。


本当にありがたかった・・・。
息子の先輩、野球部2年生のHくん・・・。


彼は財布を拾い、その中にあった免許証を見て、
「おい、オマエの親父さんの財布だろ?」って、
息子に渡してくれたのだった・・・。


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しかしな〜、僕・・・。


息子たちの世代の高校野球応援親父としてのな、
記念すべきデビューの日にな、
こんなにも鮮やかな足跡を残してしまいました・・・。


でも、ね、
本当にうれしかった・・・。
ありがとうを僕が言いに行った時の、H先輩の笑顔が、ね・・・。


イイ笑顔だった・・・。
優しい笑顔だった・・・。
爽やかな笑顔だった・・・。


そう、それがうれしかった・・・。


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なにしろな、100人近くの部員がいる野球部だ・・・。


本来ならば、な、
グラウンドに立っていたっておかしくないレベルのHくんだ・・・。


それでもスタンドで僕ら父兄と一緒に応援をしている部員たちは、ね、
みんなみんな輝いていたぜ、ベイベ!


特に3年生の、
率先して応援団長を引き受けてがんばっている先輩の笑顔に、な、
僕は、神戸の甲子園よりも、な、
もっともっと輝く甲子園を見たぜ!


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空を見上げてみる・・・。


阿久悠さんだろ、
小川監督だろ、
伊藤前理事長だろ、
僕にとっての親父みたいな矢野さんだろ、


尊い人たちの笑顔が見えたんだよ・・・。


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野球はカキーン!だ・・・。
カキーン!だけでいい・・・。


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どんな野球小僧だって、ね、
きっときっと、
生まれて初めて野球のユニホームを着た日の笑顔がある・・・。


初めてグローブを手にした日の笑顔がある・・・。


僕は、ね、
その日の君の笑顔をずっと想像している男だ・・・。


ずっとずっと君よ、
いつまでも君よ、


あの日の、な、
笑顔をずっと忘れないでいておくれよ・・・。


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僕は、ね、
こうしてメガホンを持って見てる・・・。


君たちをず〜っと見てる・・・。


財布を拾ってくれてありがとう!
君は恩人です!


いつか、キャッチボールしような・・・。