朝僕が起きると、すでに息子は出発した後だった・・・。
夏の大会が終わり、今日から息子たちの高校の野球部は、
伊豆へ4泊5日の強化合宿だ・・・。


地獄のノックだとか、
恐怖のランニングとか、
ゴキブリさんがウジャウジャいる宿舎とか、


かなりビビっている表情が笑えた・・・。


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楽しんでおいで・・・。
存分に野球をね、嫌って言うほど楽しんでおいで・・・。
先輩や同級生と寝食を共にし、
一緒になって歯を食いしばって乗り越えておいで・・・。


しっかりと絆を結んで帰っておいで・・・。


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玄関が広く感じた・・・。
息子のスパイクやらアップシューズやらローファーが無いと・・・。
こんなにも玄関は広かったのかと思う・・・。


広く感じる玄関ってさ、
なんだか切なく寂しいものだ・・・。


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昨夜、
カミさんがバリカンで息子の頭を刈っていた・・・。
「動くな!」
なんて言われながら仕上がる5厘の坊主頭を見ながら僕は、
野球の神様に御礼を言いたくなった・・・。


シアワセです・・・。


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5厘になった息子は、
ミットと、そう、
グローブを磨いていた・・・。


このミットとグローブは、息子の宝物・・・。


正座をしながらキュッキュッキュッ。
5厘の坊主がゴシゴシゴシ・・・。


このグローブは、ね、
清瀬ポニー、八景監督から息子が託された物・・・。


息子は、どうだろう?
八景さんの想いを、しっかりと受け止めているだろうか?
正座をしてグローブを磨く息子の背中を見ながら思った・・・。


地獄のノック?
大丈夫大丈夫・・・。


グローブを叩いてごらん・・・。
ばっち来〜い!なんて言いながら・・・。
君は、八景監督の想いと一緒にグラウンドにいる・・・。


ちっとも恐くない・・・。
ちっとも寂しくなんてないだろ?


がんばれがんばれ、
誇り高く君らしく・・・。


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広い玄関の寂しさ・・・。


寂しさを感じているのは、
たぶん、親父である僕だけだ・・・。


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カキーン!