三文の得。

いかにも夏といった夜明けの気配が嬉しくなり、今朝は少し早起きをした。
外に出て深呼吸をすると、本当に気持ちが良かったんだよ・・・。
スー・ハー!スー・ハー!
やっぱりな、夏はこうでなくっちゃ!ね。
独特な感覚ってあったでしょ?
そうそう、夏休みの朝ってさ・・・。
あの独特な懐かしい感覚が甦ってきたようで、何だかとてもシアワセな気分でいっぱいだ。
早起きは三文の得なんてさ、昔のヒトはよくぞ言ったものだ・・・。


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猫の額よりも小さな我が家の庭を観察する。
トカゲとかダンゴムシとかを探し、しばし戯れる事が僕は好きなんだよ・・・。
夏の朝、こんな小さな庭にもね、命がたくさん溢れている・・・。


ラッキーだ!セミの抜け殻を三個も見つけた!
たぶん、一個が一文として、合わせて三文って事だろう・・・。

わっはっは!やっぱり早起きは三文の得なのだ!これでイイのだ。


大・中・小あるのだけれど、いずれもアブラゼミだ・・・。


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子供の頃から僕は、セミの抜け殻が大好きでなぁ、たくさん集めていた・・・。
ひと夏で153個を集めた事もある・・・。


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現代の男の子たちはどうなのだろう?
セミの抜け殻を集めている子はいないのかな?


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その頃の僕みたいに、
半ズボンのポケットにさ、ダンゴムシをいっぱい入れてる男の子っていないのかな?
いないか・・・。


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とっても楽しいんだけれどな・・・。


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さてさて、セミの抜け殻が三個だ・・・。
わっはっは!嬉しいぞ・・・。


時間はまだ早朝なり・・・。
家族はみ〜んな寝てる・・・。


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どれどれ・・・。
よしよし、カミさんは熟睡しておるぞい・・・。


そ〜っとそ〜っと、
僕は、セミの抜け殻三個を、
カミさんの枕元に並べて置いた・・・。


僕から夏のプレゼントです。


顔の上に直接置いてもいいのだけれど、
チクチクして起きちゃったら厄介だ・・・。


自然に起きてから気付いた方がいいだろう・・・。


そ〜っとそ〜っと、
僕は寝室を後にした・・・。


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夏らしい朝。


もう一度僕は外に出て深呼吸。


さわやかな朝。


あれ?
カミさんの悲鳴が聞こえるぞ・・・。


どうしたんだろ?