夕暮れ時のヒラヒラ。

せ〜のっ!
パシャリ!

ああっ、ダメだ、写っていないや・・・。


夕暮れの空を飛ぶ、コウモリの群れを見た。
ヒラヒラと素早く、それは蝶とも鳥とも違う飛び方。


ビルで切り取られた四角い都会の夕空を飛ぶ、
ちいさなコウモリたちの飛翔に僕は、
何とも言えぬしたたかさを感じ、ニヤリとせずにいられなかった・・・。


飛翔する彼らの眼下には、忙しく行き交う人間たちの群れ。


空と地に、それぞれの群れ・・・。
ちいさいのは、どちら?


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夕暮れの空で虫を食み、腹を満たして帰巣する。


ヒラヒラと素早く、鳥とも蝶とも違う飛び方で舞い、
それだけのために生きる。


したたかに生きる。


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人よ、したたかであれ。
人よ・・・。


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人は皆、それぞれの家路を急ぐ。
駅前の雑踏の中、行き交いながらそれぞれの巣へ・・・。


いい事があった人も、
いい事ばかりではなかった人も、
それぞれの家路を急ぐんだ・・・。


おつかれさまの顔をしてる・・・。
充足と充実をきっと、ね、誰だって求めているんだよ。


僕は人の群れが好きだよ。
僕もまた、その群れをなす一人なのだから・・・。


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おつかれさん!


誰彼かまわず僕は、肩を叩き声を掛けたくなる・・・。


おつかれさん!


明日もまたがんばりましょうや!


じゃ!


って、ね・・・。


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僕らの群れも、そう、
ヒラヒラと素早く舞う・・・。


しかし秋の色が濃く感じる夕暮れ時だ・・・。


♪夕暮れ時は〜さみしそう〜♪


カミさんにサンマを焼いてもらおう・・・。