こんなにも綺麗な月を見上げたのは久しぶりだった。
綺麗な月が出ていた。
それはそれは見事な、本当に綺麗な月だった。
大杉勝男さんを想う。
ただひたすら、あの月に向かってホームランを打とうとしていた男を想う。
僕は秋が好きだ。
月が一際綺麗に見えるから好きだ。
お〜い!大杉さ〜ん!
月から野球少年たちが見えるだろうか・・・。
しっかりとしっかりと、
すべての野球が好きな少年たちを見守っていてほしい・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕は秋が好きだ・・・。
一際綺麗な月を見上げながら、
そして大杉勝男さんに想いを馳せる事が出来るのだから好きだ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
月が好きだ。
静かだから好きだ。
月が好きだ。
もしかしたら月は、
太陽よりも激しく燃えているのかもしれないとさえ錯覚するほど好きだ・・・。
199個のホームランボールがきっと転がっているのだから好きだ。
僕は月が好きだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
神宮球場の夜空をまた見上げたいものだ・・・。
大杉勝男さんが住む月を見上げたいものだ・・・。
路傍に咲く、かすみ草を踏まぬように気を付けながら・・・。