「なあ、父さん・・・。」
息子は僕を、そう呼ぶ・・・。
高校1年生現在、まだ15歳の息子は僕を、「父さん」と呼ぶ・・・。


「なあ、親父・・・。」
一方で僕は僕の父親を、そう呼ぶ・・・。
43歳の息子である僕は、69歳の父親を、「親父」と呼ぶ・・・。


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いつから僕は父を、「親父」と呼ぶようになったのだろう?
いつから息子は僕を、「親父」と呼ぶようになるのだろう?


そんな話をカミさんにしたところ、
「あら、あの子は私に対してはアナタのことを親父って言ってるわよ。」と言われた。


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「母さん、親父は最近おとなしく生活しているからさ、逆に要注意だと思うよ。」なんてな、
そんな事を息子はカミさんに言っていたそうだ・・・。


一体僕ってヤツは、どんな父親として息子に認識されているのか不安なのだけれど、
すでに僕を息子が「親父」と呼ぶ日の予兆は訪れているようだ・・・。


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直接僕に息子が「親父」と呼びかける日。
もしかしたらそれは、一緒に酒を飲むようになってからなのかもしれないな・・・。


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1・パパ。(2歳位まで。)
2・オトータン。(小学1年生頃まで。)
3・お父さん。(中学入学時頃まで。)
4・父さん。(それ以後現在まで。)
5・親父。(最終進化形。)


なんだか出世魚の呼び名みたいだ。
ブリとかイナダとかカンパチとかハマチとか・・・。


だが、僕は出世とは無縁の男だ。


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「なあ、父さん・・・。」


こうやって呼んでくれる間は、ね、
僕も精一杯背伸びして胸を張り、


少しだけでも息子より大きくありたいと思う・・・。