電車に乗って。

本当に数は少ないのだけれど、
ごくごく稀に僕も電車で出掛ける事がある・・・。


ガタンゴトン・・・、
ガタンゴトン・・・。


電車のイメージは、ね、
今でも僕の頭の中ではガタンゴトンだったりする・・・。


ガタンゴトン・・・、
ガタンゴトン・・・。


「次は〜、ほうや〜、ほうや〜。」
車内アナウンスの声って独特。


ガタンゴトン・・・、
ガタンゴトン・・・。


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だが、いつの間にか電車の音は、
ガタンゴトンじゃなくなっている。


シュ〜、シュシュ〜、
ムニュ〜、ムニュ〜ってな、スムーズな電子音だ・・・。


まさしく現代とは、そう、
僕らの子供時代から考えるとさ、
近未来なのだ・・・。


シュ〜、シュシュ〜、
ムニュ〜、ムニュムニュ〜。


吊革に掴まり、車窓から空を見れば、
UFOでも見えるんじゃないかと思えるような音だ。


シュ〜、シュ〜、
ムニュムニュ〜。


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ガタンゴトンが聞こえないのはきっと、
線路の継ぎ目が無いからかもね。


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停まらず通り抜ける駅がある。
げっ、間違えて急行に乗っちまった・・・。
シュ〜シュシュ〜ムニュ〜。
その駅の名前が書かれた看板を読む。
大丈夫だ、僕が降りる駅じゃない・・・。


90度、直角の位置からな、
この猛スピードで走る電車の窓から読むんだホイ。
あなたは読めるだろうか?


子供の頃、トモダチと一緒に電車に乗ると、
必ず誰かが言ったものだ・・・。


「こうやって動体視力を鍛えるんだよ。
 王選手は、ね、こうやって毎日、電車の窓から文字を読んでいるらしいぞ。」


「す、すげ〜な、王選手・・・。
 オレは読めないや・・・。」


どう考えてもにゃ、
その当時の王選手が電車通勤をしていたワケはないのだけれど、
王選手が電車で動体視力を鍛えているという噂は、
僕ら子供たちの定説であった・・・。


ガタンゴトンの時代・・・。


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シュ〜シュシュ〜。
僕が乗った電車は快適に走る・・・。


もうちょっとで目的の駅に着く・・・。


車内に降り注ぐ朝の日差しが柔らかく暖かい・・・。


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両肩が痛い。
疲れた。


ラッシュアワーだもんね、
電車に乗った瞬間からね、
ず〜っと両手を上にバンザイしていたんだもんね。


チカンに間違われちゃったら困るもんね。


間違われそうな顔をしてるんだもんね。


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放っといてくれ!