チェリ王

見つけるとなつかしくて飲む。
もしかしたらそれは、僕だけではないのかもしれない。
チェリオ、それは思い出の味。
高校生時代の乾きを癒してくれた青春の味。

キトキトの帰途、キトキトにくたびれ果てた帰り道、
寮の近くのY商店で飲むチェリオが僕らの定番だった。
これと、あんパンを食べて、たしかちょうど100えんだった・・・。
安くて、ありがたかった。
お店のガラスの冷蔵庫でよ〜く冷えていて美味しかった・・・。
ビンの値段は価格に含まれていなかったからね、チェリオは安かったんだね。
デポジット制なんて言葉は知らなかった頃だが、
飲み終えたビンはプラスチックの箱に戻し、
あんパンの袋は段ボールの即席ゴミ箱に捨てた・・・。
Y商店のオジサンに怒られちゃうからだった・・・。
Y商店のオジサンは、ね、ビンや缶の扱いに敏感だったのだ。
ビン缶だったのだ・・・。(あんまり面白くね〜や、ゴメン。)


そうそう、チェリオ
オレンジ味と、グレープ味と、メロン味。
僕は、3種類をまんべんなく飲んでいた。
あ、それからね、乳酸飲料系の味の、スコールも飲んでいた・・・。


なつかしいな、なつかしいな・・・。
今の高校生も飲んでいるのかな?
チェリオ・・・。


チェリーな球児たちよ、
チェリオを飲んで悔い無き青春を過ごせよ・・・。
ゴミはゴミ箱に捨てなさいよ・・・。
ちなみに、ゴミを漢字で書くと、「護美」なんだよ・・・。


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今日、
コンビニでチェリオを見つけて僕は買った。


ペットボトルになってしまってはいるが、味は昔のままだ・・・。


一口飲んでは目を閉じる。
シュワシュワ〜・シュワシュワ〜。
いつまでも高校生の頃のようなピュアな感性を失わずにいたいものだ・・・。


飲み終えて僕は、
あらためてペットボトルに貼られたラベルを見て気付く。


おおっ、果汁1パーセント入りではないか!
たぶん、健康にもイイんじゃないか?


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43歳の僕がチェリオを飲む・・・。


僕は今、チェリ王・・・。