照らさなくてもよい、ただぽつねんと灯せ。
今年の秋、親しい人から僕は、大文字焼きの絵葉書を頂いた。
なぜか印象に残る図柄だったので額に入れ、以来仕事場の机の上に飾っている。
漆黒の夜空に、かすかだけれど確かに峰の影が見えて、
鮮やかに文字が浮かび上がっている・・・。
大文字焼きと言えば、てっきり「大」の字ばかりだと思っていたので、
この「妙法」なる文字が余計に僕の印象に残ったのかもしれない・・・。
時々手を休めて僕は、額に入れた絵葉書を見る・・・。
「妙法」の言葉の意味を考えてみたりする。
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漆黒の中で燃える炎は眩い。
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漆黒の中で燃える炎のような生き方は出来ぬものかと思ってみたりする。
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煌々と照らすシャンデリアのような人生でなくてもよい。
ロウソク1本分の明りでもよい。
否、マッチ1本分の火でもよいから僕は、
漆黒の中で命を灯し続けたい。
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かつて、「一隅を照らす」という言葉が流行した事があった・・・。
たとえ片隅だけでも照らせる人は、大したものだと僕は思う・・・。
それすらきっと、僕には出来そうもない・・・。
ただ、ぽつねんと灯すだけだ・・・。
マッチ1本ほどの小さな火を灯すだけだ・・・。
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漆黒に映える「妙法」の文字に思う・・・。
たとえ小さくとも、負けじと灯さなければ、と・・・。
悲しみになど負けてたまるかと・・・。
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