遺影はグラウンド上にある姿だった。
僕ら父母たちが見慣れている、いつもの、あのコーチの姿の写真だった。


いい表情の写真だった・・・。
まさしく野球を人生の友とした男の表情だった・・・。


耳を澄ませば、今にもあの声が聞こえそうな写真だった・・・。


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泣くまいと思う・・・。
僕はもう、泣くまいと思う・・・。
泣くまいと思うと眉間に皺がよる・・・。
申し訳のない焼香になってしまった・・・。


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「南無」は、篤く固く信じています。の意。
「妙法」は、あるがままの姿でシアワセを見つけながら生きます。の意。


野球を人生の友とした男の生涯に想いを馳せればやはり、
決して泣いてはならないのだ・・・。


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たくさんの野球の子供たちが参列していた。


野球を人生の友とし得た男の生涯は、
まこと闇夜に灯された火であったのだ・・・。