アイアン・ハーツ

水曜日の午後、納品のために僕は、車で外出。
都内、ところどころでね、グラウンドへ向かうのであろう中学生らしき野球小僧たちを見掛けた。
おそらくは学校の時間割りの関係なのだろうな、水曜日の平日練習を行うチームって多いようだ・・・。


西日の中を走る彼らの自転車。
そしてまっすぐに伸びる影法師・・・。


がんばれよ、がんばれよ、み〜んな野球をがんばれよ・・・。
君たちは今、
強くて優しくて逞しくて正しい男になるための稽古をしているところ。


グラウンドへ出掛ける君に言葉を贈ろう・・・。


たくさんたくさん泣いておいで。
たくさんたくさん笑っておいで。


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野球が少年を大きく育てるものでありますように・・・。
野球が少年を正しく導くものでありますように・・・。


僕はずっと祈りながらね、彼らの傍に心を留めていようと思う・・・。


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西日の中を走る自転車・・・。
元気よくペダルを踏みしめる姿・・・。


僕は、そんな野球小僧たちの姿を誇らしく思う・・・。


ひとりひとりが、そうさ、かけがえのない存在であって、
ひとりひとりに、そうさ、かけがえのない野球の物語がある・・・。


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がんばれ!
がんばれ!
しっかりと君自身の物語の主人公になるんだよ・・・。


がんばれ!


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小さな子供だった頃の僕は、
仲間たちの中で一番野球が下手な子供だった・・・。


いつもいつもビリッケだった・・・。
何をやってもビリッケだった・・・。


でもね、野球の楽しさならきっと、
誰よりも知ってる子供だった・・・。


トモダチがたくさん出来るのが楽しかった。
うれしかった楽しかった・・・。


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そうか、
君は、チームの中で一番ビリッケなのか・・・。


いいんだよ、大丈夫だよ、オッケーだよ・・・。
ランニングの時さ、
後ろを振り返ってごらん・・・。


僕がいるから・・・。


僕がいれば君は絶対にビリッケにはならないから・・・。


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野球を楽しもう・・・。
野球から学ぼう・・・。
トモダチをたくさん作ろう・・・。


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西日の中を走る自転車の君を見ながら思ったんだ・・・。


たくさん泣いておいで・・・。
たくさん笑っておいで・・・。