さくら咲き誇れ。
僕のトモダチは結局、会社が募った早期退職に応じた。
10年ほど前から既に、製造の拠点は中国に移っていて、
さらにそこでの市場も拡大していて、いよいよ営業の拠点も移る事になるらしい・・・。
いっそのこと、どうだね?
本社の機能もぜ〜んぶ中国に移してさ、中国の会社になればいいんじゃないか?
時代なのか?
すべて時代のせいなのか?
トモダチの痛みを想うとな、
やるせない憤りで僕は胸が苦しくなる・・・。
まったくなあ・・・。
なんて時代なんだ・・・。
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「オレの人生ってさ、何だったんだろう?」と、受話器の向こうでトモダチが言う・・・。
え?
何だった?ってえのは何だ?と、僕は言った。
何で自分の現状を過去形にして語るんだよ・・・。
僕は、ほんのちょびっとだけイラつく・・・。
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何も終わっていない・・・。
まだまだ何も終わっていやしない・・・。
僕らは今年、44歳になるのだけれど、まだまだ負けてなんかいない・・・。
そうだな、ゲームにたとえるとだな、5回の表ってトコじゃないか?
たしかに得点差はすご〜くすご〜く開いている・・・。
でもな、声出していこう!
しまっていこう!
友よ、
オマエの人生はな、
ズバリ!2番セカンドである!
仲間たちの中で誰よりも、な、
ドキドキ緊張する場面で打席に立ったオマエなんだもんよ、
スリーバントを決めてやれい!
がんばれがんばれ・・・。
野次りながらもベンチであの日の仲間たちは、
心の中でがんばれを言い続けている・・・。
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コツン!とな、
こんな嫌な時代の足元によう、
ボールを転がしてかきまわしてやろうぜ・・・。
な、友よ・・・。
黒豆食うか?
宅急便で送ってやろうか?
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負けない。
負けない。
負けるヤツなんていない。
だってみんながんばっているんだもんな。
桜が咲いているよ。
満開まではあと少し・・・。
4月。
今日から社会人になった若者たちの姿が、ね、
テレビのニュースで流れていたよ・・・。
がんばれがんばれよ・・・。
自分の持ち味を活かしてさ、
こんな時代に立ち向かおうぜ・・・。
逆転しようぜ!
わっはっは!カキーン!だ・・・。
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黒豆、ほしい人いる?